一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

優秀ポスター

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歯科衛生士部門

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場(5F講習室2) (5F 講習室2)

[優秀P衛生-1] 当院における認知症高齢者への化粧・整容療法の取り組み

○坪井 千夏1、小林 直樹1、目黒 道生2,3、藤原 ゆみ1、前川 賢治1,4 (1. 特定医療法人万成病院歯科、2. 鳥取市立病院地域医療総合支援センター生活支援室、3. 鳥取市立病院歯科、4. 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野)

【目的】
 老化による口腔・顔面領域の機能的・外見的変化は,社会活動性の低下を招く一因である。高齢期における社会的孤立を予防し,地域社会との繋がりを維持するためには,口腔を含む身体機能低下の予防に加え,外見を整えることも重要である。そこで,今回,当院の入院高齢者に対して,高齢者の主観的健康感や抑うつ傾向を維持改善する効果が報告されている化粧・整容療法を実施したので紹介する。
【方法】
 2016年1月〜4月に当院または併設の介護老人保健施設に入所中の女性認知症高齢者16名(年齢83.3±8.7歳)に対して,週1回,3ヵ月間,美容福祉師による化粧・整容療法を実施した。本療法は3〜4名を同時に対象とし,上肢・肩関節の可動域訓練,手指・顔面・頸部・耳介の清拭,顔面皮膚の保湿,マッサージジェルを用いた顔面マッサージ,ファンデーション,アイブロー,口紅・チークの塗布,整髪を自ら行うよう指導した。また,実施期間終了後に,対象者の看護,介護にあたる職員36名に対して本療法に関するアンケート調査を行った。
【結果と考察】
 3ヵ月の実施期間内,全対象者が毎週楽しく本療法を自発的に継続した。職員のアンケート調査では,回答者の58%が「職場に笑顔が増えた」,61%が「化粧をした患者を褒めた時に,仕事にやりがいを感じた」, 42%が「自身の接遇マナーに変化があった」と回答するなど,本療法は高齢者の心身機能への影響に加え,介護負担度にも作用する可能性が示された。顔面マッサージを含む本療法は,表情筋や咀嚼筋群,および唾液腺の活性化も期待できることから,今後は口腔ケアと化粧・整容療法を組み合わせた介入が,口腔機能,認知機能等に与える影響を検討したい。