一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-100] ヒト歯接着に対する各種表面処理材とセルフエッチングプライマーの併用効果および臨床経過報告

○小泉 寛恭1、野川 博史2,3、今井 啓文4、中村 光夫3 (1. 日本大学歯学部歯科理工学講座、2. 日本大学歯学部総合歯学研究所高度先端医療研究部門、3. 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座、4. サンメディカル株式会社)

【目的】
 高齢者において咬耗,摩耗やう蝕によって歯質が欠損し,自覚症状がないため放置されることがある。このような場合に,接着性フィラー含有アクリルレジン(ボンドフィルSB プラス,以下レジン)を用いて充填し,良好な臨床経過が得られているが,有効な歯面処理法についての報告は少ない。そこで本研究は,10%クエン酸/3%塩化第二鉄溶液およびリン酸溶液の表面処理材とセルフエッチングプライマー(以下,TP)を併用した場合のヒト歯に対する接着性を評価するため,微小引張接着試験を実施し,臨床経過と合わせて報告する。
【材料および方法】
 ヒト抜去大臼歯を研削し,エナメル質および象牙質を平滑に露出させ被着面とした。エナメル質の処理条件は,TP処理20秒,20%リン酸30秒処理,20%リン酸10秒処理後にTP処理20秒併用とし,象牙質の処理条件は,エナメル質処理条件と同一の処理および10%クエン酸/3%塩化第二鉄溶液10秒処理後にTP処理20秒併用とした。各条件で処理した被着面に,レジンを筆積み法にて築盛し,20秒光照射を行った後,微小引張接着試験を行った。歯頚部全周にわたる根面う蝕や生活歯歯冠部破折の症例において,各種エッチング材処理後TP処理を行い,筆積み法にてレジン充填を行いその臨床経過を提示した。
【結果と考察】
 10%クエン酸/3%塩化第二鉄溶液およびリン酸溶液のエッチング材とTPを併用群において接着強さは向上し,各単独処理群とTP併用群とでは併用群が高い値を示した。また,臨床経過では脱離や破折,自発痛や誘発痛も認められず良好な経過を示していた。以上のことより,表面処理材とセルフエッチングプライマーの併用は有用であることが示唆された。