The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-114] 前立腺癌に対してデノスマブ投与後に下顎骨壊死が生じた1症例

○副田 弓夏1、久保田 一政1、上甲 夏香1、水口 俊介1、下山 和弘2 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、2. 東京医科歯科大学歯学部)

【目的】
 高齢者の癌の罹患率は高く,前立腺癌の骨転移は65〜75%であり,乳癌とともに骨転移を生じる頻度は高い。骨転移を生じた場合,骨修飾薬の使用が有効であるとされているが癌患者への骨修飾薬投与は顎骨壊死のリスクが高くなる。今回,デノスマブ投与中の患者が,顎骨壊死を生じた症例を経験したので報告する。
【症例及び処置】
 症例:82歳男性。既往歴:前立腺癌,右大腿骨頭転移,腹部大動脈瘤,狭心症,発作性心房細動,冠動脈バイパス手術,高血圧,脂質異常症。経過:義歯が動いて痛いという主訴で来院した。新義歯製作を進めていたが,左側下顎犬歯,第一小臼歯が歯周炎急発となり,顎骨壊死が疑われためデノスマブを中止した。中止3ヵ月後に左側下顎犬歯,第一小臼歯が自然脱落した。すでに骨露出しており,腐敗臭,抜歯窩内感染を認めstage1と診断した。1週間ごとに洗浄を繰り返し,抗菌薬を適宜投与した結果,歯の自然脱落から4ヵ月後に腐骨が脱落し,上皮化を確認し義歯を製作した。
【結果と考察】
 デノスマブは投与を中止すると顎骨壊死が治癒すると報告されており,本症例でも同様の転帰となった。しかし,治癒までに長期間必要であり,その期間の管理が重要となる。本症例では柔らかい食事の摂取の指示,壊死部の義歯のリリーフ,洗浄を行った。高齢癌患者の場合,担当内科医と連携して,骨転移,骨折,顎骨壊死のリスクと骨修飾薬の投与を考慮し,歯科治療を行う必要がある。