The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-122] 静脈内鎮静法での歯科治療により臼歯部咬合の回復を図った重度アルツハイマー型認知症高齢者の一症例

○高城 大輔1、飯田 貴俊1、林 恵美1、田中 洋平1、杉山 俊太郎1、藤川 隆義1、森本 佳成1 (1. 神奈川歯科大学全身管理医歯学講座全身管理高齢者歯科学分野)

【目的】
 アルツハイマー型認知症患者の歯科治療は,軽度であれば通法通り行うことが可能だが,重度になるにつれて治療への協力が得られなくなり,十分な歯科治療を施せないことも多い。今回我々は,診療拒否が強く通法下での診療が困難な重度アルツハイマー型認知症高齢者に対して静脈内鎮静法での歯科治療を実施したので報告する。
【症例および処置】
 72歳女性,既往歴はアルツハイマー型認知症と脂質異常症。下の奥歯がぐらついていることを主訴に来院した。重症度はClinical Dementia Ratingで重度であり,簡単な指示理解はあるものの,意思疎通は困難な状態であった。身体機能は問題なく自立歩行可能だが,認知機能の問題で日常生活動作は全介助であった。口腔内の状態は残存歯数が20歯存在したが,下顎臼歯部に欠損が多く,かつ下顎左側臼歯部ブリッジは動揺度3であり咬合時に沈下してしまい臼歯部咬合が崩壊した状態であった。治療時の様子は,開口保持は可能であったがバキュームやタービンが口腔内に入ると体動が著しく治療困難な状態であった。そこで静脈内鎮静法での治療を計画した。まずは義歯使用が可能かどうかの判断と安定した臼歯部咬合の確立のため,主訴である左側臼歯部ではなく右側の欠損部位に補綴処置を施すことから開始した。静脈内鎮静法により体動は減少し,支台歯形成や印象採得の作業が可能となった。現在では下顎右側の部分床義歯を使用し,安定した経過をたどっている。
【結果と考察】
 本症例では静脈内鎮静法での歯科治療が奏功し,患者の安定した咬合状態の回復が図れた。通法での歯科治療が困難な重度認知症患者でも静脈内鎮静法下で歯科治療は安全に実施できることが示唆された。