The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

症例・施設

症例・施設

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-123] 筋萎縮性側索硬化症患者に対し訪問歯科診療を行った1例

○赤泊 圭太1、戸原 雄2、櫻木 加奈1、澤田 佳世3、白野 美和1 (1. 日本歯科大学新潟病院訪問歯科口腔ケア科、2. 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科、3. 日本歯科大学新潟病院歯科衛生科)

【緒言】
 筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は,呼吸不全や全身の運動障害を呈し,口腔環境の悪化が懸念される。今回,在宅療養中のALS患者に下顎骨骨髄炎を発症し,消炎療法および口腔衛生管理を実施した症例を経験したので報告する。
【症例および処置】
 患者:71歳男性。初診日:2017年4月中旬。主訴:右側顎下部の腫脹。既往歴:ALS,高血圧症。現病歴:2016年10月,紹介医にて右側下顎2,3根尖部の腫脹と右側顎下部に外歯瘻を認めたため,精査加療目的に当科紹介となる。現症:患者は人工呼吸器を装着しており,発語,開眼は不能であった。常時開口状態のため口腔乾燥が著明で,残存歯には顕著な舌側傾斜が認められた。右側顎下部には,30mm大の腫脹,波動を触知し,圧迫にて排膿が認められた。口内法の画像所見:右側下顎1,2の根尖部に連続した類円形の透過像を認めた。経過:初診時より隔週の口腔衛生管理を開始した。4月下旬,右側下顎1,2の抜歯術を施行し,抗菌薬および消炎鎮痛薬の投与にて症状のコントロールを行った。抜歯1ヵ月後に再燃を認めたため,外来でCTによる顎骨精査を行ったが,治癒経過は良好であった。それ以降,半年以上再燃なく経過し,12月中旬当科終了とし,現在は紹介医にて経過観察中である。 
【結果と考察】
 在宅にて,ALS患者の訪問歯科診療を経験した。消炎療法のみならず,患者家族,紹介医と連携して,徹底した口腔衛生管理を行ったことが,患者の容体安定に寄与したと思われた。