The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

連携医療・地域医療

連携医療・地域医療

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-033] 高齢者歯科口腔機能健診による口腔機能維持・向上への取り組み

○河野 葉子1,2,3、土屋 孝治4、小川 冬樹4、五十里 一秋5、岸井 奈緒美1、奥主 嘉彦4、長﨑 敏宏4、三浦 宏子6 (1. 町田市保健所、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知神経生物学分野、3. 東京医科歯科大学脳統合機能研究センター、4. (公社)東京都町田市歯科医師会、5. 東京都多摩府中保健所、6. 国立保健医療科学院国際協力研究部)

【目的】
 町田市では,高齢者の口腔機能維持,向上及び全身の健康維持を図る事を目的として,高齢者歯科口腔機能健診を開始した。様々な自治体で高齢者を対象とした歯科健診が行われているが,健診内容や実施結果に関する詳細な報告は見当たらない。そこで,当市の取り組みを報告する。
【方法】
 2017年4月1日から10月31日に本健診を受診した,71歳以上の市民336名(男性159名,女性177名,平均年齢78±4.7歳)を調査した。健診プログラムは,行政と町田市歯科医師会が協働し作成した。検査項目は歯周病検診項目に加え,咀嚼能力評価として咀嚼能力チェックリスト,咀嚼チェックガムを,嚥下機能評価として地域高齢者誤嚥リスク評価指標,反復唾液嚥下テストを使用し,それぞれの評価項目のうち,一方に問題がある場合を「低下の可能性あり」,両方に問題がある場合を「機能低下」とした。そこから,摂食嚥下障害の程度を総合判定し,必要に応じて筋機能訓練や舌圧,開口力測定等の精密検査を受ける体系とした。加えて,実施機関向けのマニュアル作成と研修会の実施を行い,指導内容の均等化を図った。氏名等の個人情報についてはID番号化し,個人が特定できない形で分析した。
【結果と考察】
 咀嚼能力評価は,「低下の可能性あり」が18.5%,「機能低下」が3.6%,嚥下機能評価は「低下の可能性あり」が30.4%,「機能低下」が1.5%,摂食嚥下障害の程度は問題がある者が44.4%であった。対象は歯科診療所に通院できる高齢者であるが,摂食嚥下機能に何らかの問題を抱える者が4割以上いることが明らかになった。本健診の実施により,それらの人々への地域歯科医院での早期対応が可能になったと考える。