The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-046] 軽度認知障害を有する高齢者の口腔機能に関する調査

○豊下 祥史1、佐々木 みづほ1、川西 克弥1、原 修一2、三浦 宏子3、越野 寿1 (1. 北海道医療大学歯学部咬合再建補綴学分野、2. 九州保健福祉大学保健科学部言語聴覚療法学科、3. 国立保健医療科学院国際協力研究部)

【目的】
 認知症患者の口腔機能低下が問題視されているが,軽度認知機能障害(MCI)を有する高齢者の口腔機能の調査は多くない。口腔機能の低下は低栄養や全身の虚弱と関連し,口腔機能低下の早期発見が重要とされている。本研究では,自立生活を営む高齢者を対象とし,MCIが疑われる者とそうでない者の口腔機能の比較を行ったので報告する。
【方法】
 地域居住の65歳以上の自立高齢者へ協力を依頼し,承諾を得られた531名を調査,分析対象とした。
 (1)口腔機能調査:口腔内診査の後,25品目からなる摂取可能食品アンケートを実施し,咀嚼スコアを算出した。さらに,グミゼリーを試験食品に用いた咀嚼能力検査を実施した。(2)認知機能検査:認知機能の評価にはMini-Mental State Examination を用い,0~26点をMCI,27点~30点を正常と判定した。(3)統計分析:(2)で行ったMMSEの結果から、MCIと疑わしい群をMCI群,正常だった群を正常群とし,(1)で得られた口腔機能の結果についてStudent-t testまたはMann-Whitney U testによって統計分析を行った。
【結果と考察】
 正常群は241名,MCI群は284名であった。現在歯数,咀嚼スコア,グミゼリーによる咀嚼能力を分析したところ,いずれも正常群がMCI群よりも有意に高い値を示した(p<0.05)。口腔機能低下によるMCIのリスクは1.4倍であった。本研究の結果から,MCIが疑われる高齢者は口腔機能の低下が認められ,口腔ケアや補綴装置のメインテナンスを行うことにより口腔機能を維持していくことが重要であると考えられる。