The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-045] 精神疾患を伴う認知症高齢者の口腔内の実態と治療の問題点

○西澤 光弘1、荒木 俊樹2 (1. 医療法人群栄会田中病院歯科、2. 荒木歯科医院)

【目的】
 群栄会田中病院は精神科,神経科,心療内科,内科を主体として,歯科のほか,精神障害者の社会復帰施設,グループホーム,デイケアなどが設置され,さらに高齢者のための介護老人保健施設,療養病棟,認知症グループホームや有料老人ホームがあり多くの入院患者や入所者(以後は入所者とする)を抱えている。
 そのため入所者の多くは統合失調症や認知症などの精神神経疾患に罹患しており,複数の疾患を併発している入所者も少なくない。そしてその症状としての抑うつ状態や薬剤による鎮静,拒否や判断力の障害などにより口腔衛生管理が困難な入所者も見受けられる。当歯科ではそのような患者も積極的に受診できるよう取り組んでいるが,苦慮することも多い。今回は昨年1年間に当歯科を初めて受診した,精神疾患を伴う認知症高齢者5名に関して臨床的検討を行ったのでその概要を報告する。
【対象および方法】
 患者は男性1名,女性4名,平均年齢は79.4歳であった。全員認知症とうつ病の既往があり,うち1名は統合失調症を併発していた。また,3名は意思疎通が不十分であった。
【結果と考察】
 初診時口腔内所見は2名が無歯顎で,3名は多数歯う蝕と歯周疾患に罹患しており歯の動揺や歯肉の腫れを認めた。治療内容は義歯新製,う蝕治療,歯周治療,抜歯などで,可及的に短時間で済むように心がけた。しかしディスキネジアや体動,治療に対する極度の恐怖心などにより治療は困難であったが,身体を抑制することなく行うことができた。精神科や認知症患者が入所する施設の歯科ではそのような患者の治療に苦心することがあるが,今後も認知症や精神疾患の症状を理解し,個々に対応できるよう積極的に介入したいと考えている。