The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-051] 口腔機能低下症の評価が困難であった者に関する検討

○尾崎 由衛1、梶原 美恵子2、柴田 佳苗3 (1. 西別府病院、2. 北九州古賀病院、3. 済生会八幡総合病院)

【目的】
 口腔機能低下症の定義と診断基準が発表され,機能低下へのアプローチの必要性が広く認識されるようになってきた。今回,高齢者施設利用者を対象に検査を行った結果,測定が困難であった者について検討した。
【対象と方法】
 介護施設利用者88名(入所62名,通所26名),平均年齢86.7±6.75歳を対象として,口腔機能低下症の診断に用いる7項目(口腔不潔,口腔乾燥,咬合力低下,舌口唇運動機能低下,低舌圧,咀嚼機能低下,嚥下機能低下)について検査を行った。測定ができなかった場合は「不可」として処理した。結果に「不可」を含む群と含まない群の2群に分け,検定はカイ二乗検定,Wilcoxon順位和検定を行った。
【結果と考察】
 検査結果に「不可」を含む者の割合は28.4%(入所者19.4%,通所利用者50.0%)であった。項目別では,「口腔不潔」で3.4%,「口腔乾燥」で6.8%,「舌口唇運動機能低下」で22.7%,「低舌圧」で10.2%,「咀嚼機能低下」で13.6%,「嚥下機能低下」で23.9%であった.「不可」の項目数が1つの者は3.4%,2つ以上の者は25.0%認められた。「要介護度」が上がるにつれ,「認知症高齢者の日常生活自立度」,「障害高齢者の日常生活自立度」が下がるにつれ「不可」の者の割合が増加した。また,「不可」を含む群は,含まない群に比べて形態調整食を選択されている割合が有意に多かったが,BMIは低値であった。今回の結果より,口腔機能低下症を診断する際,被験者によっては実施困難な項目があり,認知機能の影響に配慮した検査の選択の必要性や,不可であった場合の結果の処理方法についての基準設定の必要性が考えられた。