The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-054] 当院における歯科訪問診療患者の欠損歯列の病態についての推移調査

○今井 哲郎1、堀内 優香1、山本 健太1、尾立 光1、末永 智美1,2、吉野 夕香3、川上 智史1,4、會田 英紀1,5、平井 敏博6 (1. 北海道医療大学歯学部高齢者有病者歯科学分野、2. 北海道医療大学病院歯科衛生部、3. 北海道医療大学病院地域連携室、4. 北海道医療大学歯学部高度先進保存学分野、5. 北海道医療大学歯学部歯学教育開発学分野、6. 北海道医療大学)

【目的】
 当院では,平成17年から地域の保険医療機関や介護事業所などと連携を図りながら歯科訪問診療を行っている。高齢者のみならず,歯科的介入が歯列欠損の拡大を防止し,QOLを向上させることは論を待たない。今回は,当院が歯科訪問診療を実施している患者の欠損歯列の病態の推移を把握することを目的とした。
【方法】
 平成29年4月から9月の半年間に歯科訪問診療を実施したすべての患者を対象として,後ろ向き調査を行い,昨年同時期のデータと比較した。
【結果と考察】
 対象期間中の患者総数は206名(平均84.5±9.2歳,男性/女性:60/146名)であり,延べ診療件数は2,232件であった。その内訳は,後期高齢者が176名(85.4%),前期高齢者が24名(11.7%)であり,65歳未満はわずかに6名(2.9%)であった。また,高齢者の残存歯数ならびに咬合支持数は,それぞれ後期高齢者群では9.3±8.5本,2.4±3.7ヵ所,前期高齢者群では16.0±9.1本,6.2±5.0ヵ所であった。さらに宮地の咬合三角では,全体としては消失レベルと呼ばれる第Ⅳエリアが最も多かったが(55.8%),難易度が高いとされる第Ⅲエリアでは,後期高齢者群が24名(11.5%),前期高齢者群が2名(1.0%)であった。
 今回の調査結果を昨年同時期のデータと比較したところ,後期高齢者数の割合が増加しているにも関わらず(前年:83.9%),第Ⅲ,Ⅳエリアの割合が減少している(前年:第Ⅲ16.5%,第Ⅳ58.1%)ことが確認できた。以上の結果から,歯科訪問診療が欠損歯列の拡大防止に寄与している可能性が示されたが,さらなる追跡が必要であると考える。