The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

実態調査

実態調査

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-062] 福岡市内の特別養護老人ホーム5施設の肺炎の発症の現状

○瀧内 博也1、加藤 智祟1、水谷 慎介1、梅崎 陽二朗1、牧野 路子1、内藤 徹1 (1. 福岡歯科大学総合歯科学講座高齢者歯科学分野)

【目的】
 介護施設の肺炎(医療・介護関連肺炎)は感染症の中で発症率が高く,入院や全身の機能低下につながり,死亡率も非常に高い。本邦でも診療ガイドラインが作成され注目が集まっている。しかし,世界で最も高齢化率が高く,今後も介護施設が増加する本邦の介護施設の肺炎の実態報告は不足している。そこで,本研究では特別養護老人ホーム(特養)を対象に肺炎の現状を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 対象は福岡市内の特養5施設(合計入居定員448名,平均年齢86.9歳,男:女=17:83)とし,平成27,28年度(1,2年目)の入院状況,2年目の退所,死亡状況の後ろ向き調査を行った。本研究は福岡学園倫理審査委員会の承認(許可番号337)を得て実施された。
【結果と考察】
 1,2年目の合計の入院回数(人数)は321回(229名),318回(226名),平均入院日数は1,744.2日,1,466.7日(入居定員百対)であった。肺炎による入院回数(人数)は92回(79名),104回(88名),平均入院日数は519.9日,478.8日であり,5施設すべてで1,2年目通して肺炎が最も多かった。また,肺炎1回あたりの平均入院日数は25.3日,20.6日であった。
 2年目の年度内の退所者は合計132名(死亡:54名)で,同年度中に肺炎の既往があるものは53名(死亡:19名)であった。肺炎入院の非経験者に対する経験者の退所リスク,死亡リスクは2.74,2.22倍であった。
 特養では,疾患の中で肺炎による入院回数(人数),入院日数が最も多く,全体の約1/3を占めていた。また,肺炎経験者の多くが退所,死亡につながっており,介護施設での肺炎の脅威が明らかとなった。