The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題ポスター

全身管理・全身疾患

全身管理・全身疾患

Sat. Jun 23, 2018 9:30 AM - 3:30 PM ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-074] 弁膜症手術後,心肺停止後の全身状態の変化により口腔内潰瘍の増悪・改善をみた一症例

○小原 万奈1、久保田 一政1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【緒言】
 今回,本学医学部附属病院で弁膜症手術後の全身状態悪化による口腔内出血に対して周術期口腔機能管理を行い,改善が得られた症例を報告する。
【症例】
 81歳女性。既往歴:大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁閉鎖不全症。
 経過:大動脈弁置換術・僧帽弁形成術施行。翌日抜管した。術後7日後,呼吸不全のため再挿管,その際一時心肺停止となる。術後11日以降,血小板数5万以下の状態が続く。術後26日後,血小板数1.9万となった。口腔内診査および口腔ケア依頼される。口腔粘膜に多数の潰瘍が認められ,各潰瘍から出血していた。当科は根治的な治療は困難と考え,対症療法としてスポンジブラシによる口腔ケアとアズレン・リドカイン含嗽液による保湿の継続を指示した。ケア時は歯肉の血餅を除去すると再出血するため血餅はあえて残すよう指示した。以後当科は1週間おきに介入。術後55日後,血小板数9.9万となると口腔内の潰瘍は顕著に減少,出血量も減少した。術後83日後,血小板数18.2万,口腔内潰瘍は全て消失し出血もなく正常な状態に改善した。
【考察】
 全身状態の変化により口腔粘膜の潰瘍の増悪・改善が認められた症例を経験した。本症例では血小板減少により潰瘍,出血が起きたと考えられる。血小板減少の原因は多科による診断の結果,心肺停止によるショック肝とDICが濃厚だが,DICの原因は不明である。全身状態の悪化により潰瘍や出血が起こった場合は,ブラッシング可能かを判断し,不可能ならスポンジブラシなどでのケアに留め全身状態の改善を待つことが重要であると本症例から学んだ。