[認定P-03] 多数の全身疾患を有する患者に対し口蓋隆起切除と部分床義歯による補綴治療を行い口腔QOLが改善した1例
【緒言】
義歯による補綴治療において,著明な骨隆起の存在が治療の障害となる場合,補綴前処置として外科的切除を要することがある。今回,著明な口蓋隆起を有し,義歯不適合による咀嚼障害を生じた後期高齢者に対し,静脈内鎮静下に口蓋隆起を切除後,部分床義歯を装着し,口腔QOLを改善した症例を経験したので報告する。
【症例及び処置】
患者:82歳,女性。
主訴:上の入れ歯とバネをかけている歯が痛い。
既往歴:高血圧,糖尿病,気管支喘息,骨粗鬆症,静脈瘤術後
現病歴:右側上顎犬歯及び第二大臼歯の動揺と上顎部分床義歯の不適合による咀嚼障害が出現し,当院を受診した。
現症:口蓋正中に拇指頭大の骨隆起を認め,上顎部分床義歯は馬蹄形バーを有し,床下粘膜に義歯性潰瘍を認めた。支台歯の右側上顎犬歯及び第二大臼歯はいずれも動揺度3であった。
治療経過:局麻下に右側上顎犬歯及び第二大臼歯を抜歯し,上顎義歯の増歯修理を行った。全身疾患と侵襲によるリスクを考慮し,当初は口蓋隆起切除を行わない方針とした。しかし,抜歯後の歯列がEichner分類B4を呈した上に,口蓋隆起によって上顎義歯床の支持域が制限されたため,床下粘膜の疼痛が改善せず,口蓋隆起切除に踏み切った。抜歯後に迷走神経反射による血圧低下を来したことから,口蓋隆起切除は静脈内鎮静下に行い,術後に口蓋全体を覆う設計で上顎義歯を新製した。口腔QOLの客観的評価として,口蓋隆起切除前と新製義歯装着後にOHIP−J,GOHAI及び食品アンケートを行ったところ,義歯装着後には各スコアの改善を認めた。
【結語】
多数の全身疾患を有する後期高齢者に,口蓋隆起切除と義歯補綴治療を行い口腔QOLが改善された症例を報告した。
義歯による補綴治療において,著明な骨隆起の存在が治療の障害となる場合,補綴前処置として外科的切除を要することがある。今回,著明な口蓋隆起を有し,義歯不適合による咀嚼障害を生じた後期高齢者に対し,静脈内鎮静下に口蓋隆起を切除後,部分床義歯を装着し,口腔QOLを改善した症例を経験したので報告する。
【症例及び処置】
患者:82歳,女性。
主訴:上の入れ歯とバネをかけている歯が痛い。
既往歴:高血圧,糖尿病,気管支喘息,骨粗鬆症,静脈瘤術後
現病歴:右側上顎犬歯及び第二大臼歯の動揺と上顎部分床義歯の不適合による咀嚼障害が出現し,当院を受診した。
現症:口蓋正中に拇指頭大の骨隆起を認め,上顎部分床義歯は馬蹄形バーを有し,床下粘膜に義歯性潰瘍を認めた。支台歯の右側上顎犬歯及び第二大臼歯はいずれも動揺度3であった。
治療経過:局麻下に右側上顎犬歯及び第二大臼歯を抜歯し,上顎義歯の増歯修理を行った。全身疾患と侵襲によるリスクを考慮し,当初は口蓋隆起切除を行わない方針とした。しかし,抜歯後の歯列がEichner分類B4を呈した上に,口蓋隆起によって上顎義歯床の支持域が制限されたため,床下粘膜の疼痛が改善せず,口蓋隆起切除に踏み切った。抜歯後に迷走神経反射による血圧低下を来したことから,口蓋隆起切除は静脈内鎮静下に行い,術後に口蓋全体を覆う設計で上顎義歯を新製した。口腔QOLの客観的評価として,口蓋隆起切除前と新製義歯装着後にOHIP−J,GOHAI及び食品アンケートを行ったところ,義歯装着後には各スコアの改善を認めた。
【結語】
多数の全身疾患を有する後期高齢者に,口蓋隆起切除と義歯補綴治療を行い口腔QOLが改善された症例を報告した。