[認定P-04] 右側下顎頭欠損を有する高齢者に対し機能的人工歯排列を行い咀嚼機能を改善した下顎総義歯症例
【目的】
義歯を装着している高齢者において,義歯の不適合は咀嚼機能の低下を招き,その結果食形態が下がると患者のQOLは低下する。また,口腔機能の低下は低栄養を招き,全身的なフレイルに関連することが報告されている。今回,義歯不適合により咀嚼が困難であった右側下顎頭欠損を伴う高齢者に対し,ピエゾグラフィを用いた新義歯製作を行い,咀嚼機能とQOLの改善に繋がった症例を経験したため報告する。
【症例および処置】
患者は79歳女性。既往歴は狭心症。下顎総義歯の不適合を主訴に2014年8月に当院を受診した。50年前に開口障害の治療の為,右側下顎頭切除を施行されていた。開口時や発音時に下顎が右方へ偏位した際に,下顎総義歯の浮き上がりをみとめた。グミゼリーを用いた咀嚼機能検査と,山本の咬度表を用いた機能評価を行ったが,両検査ともに低い値を示した。また,VASは20%であった。咀嚼機能の改善を目指し、下顎総義歯の新製を行うこととした。旧義歯は歯槽頂間線に臼歯部人工歯が排列されていたが,機能時の下顎右方偏位によるデンチャースペースの狭窄が義歯不適合の原因と考えられたため,ピエゾグラフィを行い,筋圧中立帯を明示し,人工歯排列と研磨面形態の参考にすることとした。
【結果と考察】
新義歯装着後,開口時における義歯の浮き上がりは消失した。グミゼリーを用いた咀嚼機能検査と,山本の咬度表を用いた機能評価を行ったところ改善がみとめられ,VASは90%まで上昇した。本症例ではピエゾグラフィを用いて筋圧中立帯内に機能的人工歯排列を行った新義歯を製作したことにより,下顎総義歯の維持安定が向上し,患者の咀嚼機能およびQOLの改善に貢献できたと考えられた。
義歯を装着している高齢者において,義歯の不適合は咀嚼機能の低下を招き,その結果食形態が下がると患者のQOLは低下する。また,口腔機能の低下は低栄養を招き,全身的なフレイルに関連することが報告されている。今回,義歯不適合により咀嚼が困難であった右側下顎頭欠損を伴う高齢者に対し,ピエゾグラフィを用いた新義歯製作を行い,咀嚼機能とQOLの改善に繋がった症例を経験したため報告する。
【症例および処置】
患者は79歳女性。既往歴は狭心症。下顎総義歯の不適合を主訴に2014年8月に当院を受診した。50年前に開口障害の治療の為,右側下顎頭切除を施行されていた。開口時や発音時に下顎が右方へ偏位した際に,下顎総義歯の浮き上がりをみとめた。グミゼリーを用いた咀嚼機能検査と,山本の咬度表を用いた機能評価を行ったが,両検査ともに低い値を示した。また,VASは20%であった。咀嚼機能の改善を目指し、下顎総義歯の新製を行うこととした。旧義歯は歯槽頂間線に臼歯部人工歯が排列されていたが,機能時の下顎右方偏位によるデンチャースペースの狭窄が義歯不適合の原因と考えられたため,ピエゾグラフィを行い,筋圧中立帯を明示し,人工歯排列と研磨面形態の参考にすることとした。
【結果と考察】
新義歯装着後,開口時における義歯の浮き上がりは消失した。グミゼリーを用いた咀嚼機能検査と,山本の咬度表を用いた機能評価を行ったところ改善がみとめられ,VASは90%まで上昇した。本症例ではピエゾグラフィを用いて筋圧中立帯内に機能的人工歯排列を行った新義歯を製作したことにより,下顎総義歯の維持安定が向上し,患者の咀嚼機能およびQOLの改善に貢献できたと考えられた。