一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

認定医審査ポスター

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2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-19] 高齢血液透析患者の抜歯経験

○大槻 麻1 (1. 医療法人社団おおつき会大槻歯科医院)

【目的】
 高齢社会になり慢性腎不全患者も多くなり,血液透析を受けている患者に対して歯科治療を行う機会も増加している。高齢の透析患者は心血管障害,脳血管障害など様々な合併症を有しており,重度の歯周病は心血管疾患のリスク因子であることが報告されている。今回,慢性腎不全にて血液透析をしている患者の抜歯を行った経験について報告する。
【症例】
 患者は男性69歳で慢性腎不全にて血液透析を行っている。口腔内は中等度~重度の歯周病であった。
【検査・診断・治療方針】
 慢性腎不全で他に二次性副甲状腺機能亢進症,慢性膵炎,甲状腺機能低下症,肝硬変を合併していた。血液透析は昨年より開始し週3回行っている。既往歴は左大腿骨頸部骨折である。服用薬剤は利尿剤,鉄剤,甲状腺ホルモン剤,ビタミンD製剤であった。血液検査により尿素窒素,クレアチニン,無機リンは高値を示し,ヘモグロビン,ヘマトクリット値,アルブミンは低値であった。パノラマX線検査,歯周検査で右下第1小臼歯,左下第1,2大臼歯は慢性根尖性歯周組織炎と診断し抜歯を行うこととした。
【処置および治療経過】
 透析の種類とスケジュールを確認し,非透析日に1回1歯ずつ抜歯を行った。抗菌剤はセフェム系抗生剤を通法通り投与した。術中術後の異常出血を認めず,血液検査値に大きな変化は見られなかった。
【考察】
 透析患者は出血傾向があるので,抜歯は非透析日に行い,局所止血を確実にするため縫合処置を行った。また,術後感染に対して抜歯前からプラークコントロールを十分に行った。術中の循環動態の変動に対しては血圧や心拍数に対するモニタリングを行った。この結果,問題なく抜歯を完了することができ,術後も良好に経過したものと考えている。