[認定P-33] 繰り返す脳梗塞による摂食嚥下障害に対し摂食嚥下リハビリテーションおよび胃瘻造設を行った1例
【目的】
今回,繰り返す脳梗塞による摂食嚥下障害に対して,口腔期・咽頭期・食道期にアプローチした摂食嚥下リハビリテーションを実施するとともに,胃瘻造設を行った1例を経験したので報告する。
【症例および処置】
82歳男性。小脳および延髄を含めた5回にわたる脳梗塞により経口摂取困難な状態ながらも胃瘻造設拒否により,在宅にて経鼻経管による経腸栄養を継続していた。認知機能は維持されているものの,栄養量の不足,全身の廃用,構音障害,湿性および気息性嗄声を認めた。嚥下内視鏡検査にて,右声帯麻痺による不完全な声門閉鎖,唾液および痰の披裂部への垂れ込みが認められた。また,舌による送り込みの不良,咽頭収縮不良および嚥下反射惹起遅延による不顕性誤嚥を認めた。以上の問題点に対して,胃瘻造設術による栄養改善を提案するとともに,以下のリハビリテーションを実施した。口腔期に対しては,上顎義歯を舌接触補助床の形態に修正し,送り込みの改善を図った。咽頭期に対しては,適切な食形態に変更するとともに,姿勢の調整,代償法および呼吸機能を強化する間接訓練を指導した。初診から4ヵ月後に,低栄養の改善および安全な経口摂取の確立を目的として,本人の同意のもと胃瘻造設術を行うに至った。食道期に対しては,胃瘻造設時の入院時に嚥下造影検査を行い,食物の停滞や逆流がないことを確認した。
【結果と考察】
本症例は経腸栄養を行っていたが,栄養量の不足,鼻咽腔の違和感および注入による時間的制約が嚥下訓練実施の妨げとなっていた。また,全身の筋肉量と嚥下に関わる筋力の正の相関を示す報告もあり,全身の廃用を改善することは摂食嚥下リハビリテーションを安全に進めるために重要であると考えられる。
今回,繰り返す脳梗塞による摂食嚥下障害に対して,口腔期・咽頭期・食道期にアプローチした摂食嚥下リハビリテーションを実施するとともに,胃瘻造設を行った1例を経験したので報告する。
【症例および処置】
82歳男性。小脳および延髄を含めた5回にわたる脳梗塞により経口摂取困難な状態ながらも胃瘻造設拒否により,在宅にて経鼻経管による経腸栄養を継続していた。認知機能は維持されているものの,栄養量の不足,全身の廃用,構音障害,湿性および気息性嗄声を認めた。嚥下内視鏡検査にて,右声帯麻痺による不完全な声門閉鎖,唾液および痰の披裂部への垂れ込みが認められた。また,舌による送り込みの不良,咽頭収縮不良および嚥下反射惹起遅延による不顕性誤嚥を認めた。以上の問題点に対して,胃瘻造設術による栄養改善を提案するとともに,以下のリハビリテーションを実施した。口腔期に対しては,上顎義歯を舌接触補助床の形態に修正し,送り込みの改善を図った。咽頭期に対しては,適切な食形態に変更するとともに,姿勢の調整,代償法および呼吸機能を強化する間接訓練を指導した。初診から4ヵ月後に,低栄養の改善および安全な経口摂取の確立を目的として,本人の同意のもと胃瘻造設術を行うに至った。食道期に対しては,胃瘻造設時の入院時に嚥下造影検査を行い,食物の停滞や逆流がないことを確認した。
【結果と考察】
本症例は経腸栄養を行っていたが,栄養量の不足,鼻咽腔の違和感および注入による時間的制約が嚥下訓練実施の妨げとなっていた。また,全身の筋肉量と嚥下に関わる筋力の正の相関を示す報告もあり,全身の廃用を改善することは摂食嚥下リハビリテーションを安全に進めるために重要であると考えられる。