一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

認定医審査ポスター

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2018年6月23日(土) 09:30 〜 15:30 ポスター会場 (7F イベントホール)

[認定P-32] 12年間禁食だった胃瘻の高齢患者に介入し経口摂取と胃瘻抜去可能となった1症例

○山崎 康弘1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【緒言】
 経管栄養の高齢者に対して介入し,段階的摂食訓練によって3食経口摂取,胃瘻抜去に至った1症例を経験したので報告する。
【症例】
 69歳の時に膿疱性乾癬発症。食思低下,体重減少に伴い翌年胃瘻造設。主治医から経口摂取困難との診断を受け,在宅復帰後も禁食が継続。H28年1月(81歳時),初診。患者の主訴は,「普通食を食べたい。胃瘻をとりたい」。当時栄養摂取方法は,“経管栄養(胃瘻)のみ”(禁食期間は約13年間)。身長156cm,体重50kg(BMI20.5kg/m2)。認知機能低下なし。従命可能。コミュニケーション良好。口腔内は清掃状態不良。義歯は持っていたが適合不良で修理・新製の必要性を認めた。当院にて,義歯の修理新製と,適宜内視鏡検査と段階的摂食訓練を行った。その結果,義歯の完成に伴い咬合支持域が完成。食形態は段階的に食形態が向上し,H28年12月(82歳時)に3食経口摂取となり胃瘻抜去となった。現在は,自食にて「常食,米飯,水分」を召し上がっており,「食べたいものが食べられるようになって嬉しい」と患者の主訴をかなえることが可能となった。
【考察】
 本症例では膿疱性乾癬に伴い一時的に食思低下が生じたが,嚥下機能低下には大きく関わらない疾患であったため,適切な嚥下機能評価と摂食訓練のアプローチによって本人の希望する3食経口摂取と胃瘻抜去に繋げることができたと考えられる。疾患によっては,嚥下機能が大きく影響を受けないこともあり,患者の状態に応じて適切な嚥下機能検査を行い,嚥下機能の改善に努めることが望ましいと考えられた。
【結論】
 高齢で,過去に経口摂取困難と診断された方でも,介入によって経口摂取に繋げられることがある。