[優秀P地域-1] 看護小規模多機能と在宅主治医と連携し,在宅看取りに関わった進行性核上性麻痺の一例
【症例】
2002年歩行障害にて発症した83歳のPSP患者。2017年誤嚥性肺炎で入院した。その際,嚥下障害が顕著であり生命維持のための経口摂取は困難と診断された。患者は胃瘻やIVHは望まなかったため,在宅看取りとなり末梢点滴で退院した。退院後は看護小規模多機能のショートステイを利用していた。本人より経口摂取の希望があり在宅主治医から依頼を受けた。
【経過】
退院後5日目初診。声かけにて開眼しうなづきや笑顔が見られた。頸部の過伸展は認めず口腔衛生状態は良好であった。嚥下内視鏡検査にてとろみやゼリーは誤嚥や咽頭残留なく摂取できたため,お楽しみの経口摂取を開始した。看護師が毎日実施し1日に10口程食べるようになった。むくみとともに皮下輸液が少しずつ減少され,経口摂取開始50日目に終了となった。お楽しみの経口摂取は継続できていたが,点滴終了後5日目には無呼吸~頻呼吸を繰り返すようになった。経口摂取を続ける中で,患者の人となりや好きなものを聞き日本酒が最も好きだと伺ったため,次回持参することを約束した。その日は点滴が終了して6日が経過していた。呼吸数が多かったため嚥下することは困難と考え,スポンジブラシに日本酒を浸して口腔内をマッサージすると,舌を動かし嚥下しようとする動きが認められた。翌日,患者は静かに旅立った。家族は最期まで経口摂取をできたこと,自宅で看取りをできたこと,患者が苦しまずに息を引き取ったことに満足されていた。
【結論】
看取りの場面でも歯科が口腔ケアや経口摂取で関わることは少なくない。その人の最期の物語に少しでも関われることは医療者として大切な学びであり,これからも多職種と共に人生の最期に関わっていきたい。
2002年歩行障害にて発症した83歳のPSP患者。2017年誤嚥性肺炎で入院した。その際,嚥下障害が顕著であり生命維持のための経口摂取は困難と診断された。患者は胃瘻やIVHは望まなかったため,在宅看取りとなり末梢点滴で退院した。退院後は看護小規模多機能のショートステイを利用していた。本人より経口摂取の希望があり在宅主治医から依頼を受けた。
【経過】
退院後5日目初診。声かけにて開眼しうなづきや笑顔が見られた。頸部の過伸展は認めず口腔衛生状態は良好であった。嚥下内視鏡検査にてとろみやゼリーは誤嚥や咽頭残留なく摂取できたため,お楽しみの経口摂取を開始した。看護師が毎日実施し1日に10口程食べるようになった。むくみとともに皮下輸液が少しずつ減少され,経口摂取開始50日目に終了となった。お楽しみの経口摂取は継続できていたが,点滴終了後5日目には無呼吸~頻呼吸を繰り返すようになった。経口摂取を続ける中で,患者の人となりや好きなものを聞き日本酒が最も好きだと伺ったため,次回持参することを約束した。その日は点滴が終了して6日が経過していた。呼吸数が多かったため嚥下することは困難と考え,スポンジブラシに日本酒を浸して口腔内をマッサージすると,舌を動かし嚥下しようとする動きが認められた。翌日,患者は静かに旅立った。家族は最期まで経口摂取をできたこと,自宅で看取りをできたこと,患者が苦しまずに息を引き取ったことに満足されていた。
【結論】
看取りの場面でも歯科が口腔ケアや経口摂取で関わることは少なくない。その人の最期の物語に少しでも関われることは医療者として大切な学びであり,これからも多職種と共に人生の最期に関わっていきたい。