[優秀P地域-2] 術後40年以上経過した舌切除患者にLAPを適用した一例
【目的】
舌は咀嚼,嚥下,そして構音などの口腔機能の主役ともいえる役割を担う部分である。現在,舌癌には,手術療法を主体とする療法が用いられることが一般的で,術後にはそれらの機能に少なからず障害を残すことも多い。
今回,我々は術後40年を経過した口底部への拡大を伴う可動舌半側切除術後の症例に下顎義歯の舌側に欠損した舌の形態を補う接触補助装置(Lingual Augmentation Prosthesis以下LAPという)を作製し,良好な結果を得たので報告する。
【症例および処置】
84歳,男性。嚥下後,切除側口腔底に多量の食渣が残留。今の食べやすさと飲み込みやすさをVisual Analog Scale(以下VAS)で示してもらったところ,食べやすさは“1”,飲み込みやすさは“1”であった。まず,リベースを行った。丸のみによる摂取は変わらず,食渣残留も改善しなかったため,挺舌訓練を開始し,さらに欠損した可動舌を補う形態を義歯に付与し,徐々に普通食を食べられるまでになった。
【結果と考察】
現在,普通食を食べはじめて6ヵ月が経過し,肺炎などの不快症状なく,食べやすさは“6.5”,飲み込みやすさは“7”,食渣残留はわずかで経過している。
今回の症例では,舌根部が温存されていたことが良好な結果の一因と思われる。残存舌は40年以上の経過の中でほとんど動きを停止していたが,挺舌訓練の効果があったことは,特筆すべきと思われる。また,LAPの形態の適否を判定する指標に今回はVASによる自覚症状のvisual化と食渣の残留状態に依ったが,簡便で有用と思われた。聴覚印象評価による方法も試みたが,LAPによる改善効果はうすく,判断基準とはできなかった。
舌は咀嚼,嚥下,そして構音などの口腔機能の主役ともいえる役割を担う部分である。現在,舌癌には,手術療法を主体とする療法が用いられることが一般的で,術後にはそれらの機能に少なからず障害を残すことも多い。
今回,我々は術後40年を経過した口底部への拡大を伴う可動舌半側切除術後の症例に下顎義歯の舌側に欠損した舌の形態を補う接触補助装置(Lingual Augmentation Prosthesis以下LAPという)を作製し,良好な結果を得たので報告する。
【症例および処置】
84歳,男性。嚥下後,切除側口腔底に多量の食渣が残留。今の食べやすさと飲み込みやすさをVisual Analog Scale(以下VAS)で示してもらったところ,食べやすさは“1”,飲み込みやすさは“1”であった。まず,リベースを行った。丸のみによる摂取は変わらず,食渣残留も改善しなかったため,挺舌訓練を開始し,さらに欠損した可動舌を補う形態を義歯に付与し,徐々に普通食を食べられるまでになった。
【結果と考察】
現在,普通食を食べはじめて6ヵ月が経過し,肺炎などの不快症状なく,食べやすさは“6.5”,飲み込みやすさは“7”,食渣残留はわずかで経過している。
今回の症例では,舌根部が温存されていたことが良好な結果の一因と思われる。残存舌は40年以上の経過の中でほとんど動きを停止していたが,挺舌訓練の効果があったことは,特筆すべきと思われる。また,LAPの形態の適否を判定する指標に今回はVASによる自覚症状のvisual化と食渣の残留状態に依ったが,簡便で有用と思われた。聴覚印象評価による方法も試みたが,LAPによる改善効果はうすく,判断基準とはできなかった。