[O1-8] ワルファリンとミコナゾールゲルの相互作用で広範な皮下出血をきたした1例
【緒言】
抗凝固剤のワルファリンと抗真菌剤のミコナゾールは併用禁忌である。今回,誤処方のため両薬剤併用が原因の合併症を経験したので症例の概要を報告する。
【症例】
発表に際して患者の承諾を得ている。
症例は70歳代の女性。狭心症,高血圧症,下肢静脈血栓症等の診断にて,降圧剤,硝酸剤等に加えてワルファリンを2.5mg常用していた。口の中の疼痛等のため当科に対診紹介された。舌乳頭の萎縮と発赤,白苔を認めカンジダ性口内炎の診断にて,ミコナゾールゲルを処方した。担当医および調剤薬局における確認作業の不徹底により,ミコナゾールはそのまま処方され,患者は服用を開始した。服用後5日目に両上肢,下肢に広範な点状出血,皮下出血を認め,当院循環器内科を受診した。PT-INRは10以上で測定不能であった。即日入院の上,ビタミンKにて拮抗処置がなされた。入院2日目にPT-INRは1.44に低下し,以降重篤な出血は認めず入院5日目に退院となった。
【考察】
ワルファリンは主な薬理活性体であるSワルファリンの代謝酵素であるCYP2C9の活性に大きな変動を及ぼすミコナゾール等の薬剤との相互作用が問題となる。両者の併用による出血の合併症として硬膜下血腫や消化管出血の報告がある。本症例も拮抗処置がなければこれらの重篤な出血の合併症に至った可能性があったと考えられる。
処方医と調剤薬局が既に処方されている薬剤を含めての確認作業に不備があった点,電子カルテ上での注意喚起,調剤薬局での疑義照会のシステム等双方でのチェック機構の不備等が本症の原因と思われた。
【結論】
既処方薬の確認や併用禁忌に対する注意喚起システムの見直しが処方医側および調剤薬局側の双方に必要と考えられた。
抗凝固剤のワルファリンと抗真菌剤のミコナゾールは併用禁忌である。今回,誤処方のため両薬剤併用が原因の合併症を経験したので症例の概要を報告する。
【症例】
発表に際して患者の承諾を得ている。
症例は70歳代の女性。狭心症,高血圧症,下肢静脈血栓症等の診断にて,降圧剤,硝酸剤等に加えてワルファリンを2.5mg常用していた。口の中の疼痛等のため当科に対診紹介された。舌乳頭の萎縮と発赤,白苔を認めカンジダ性口内炎の診断にて,ミコナゾールゲルを処方した。担当医および調剤薬局における確認作業の不徹底により,ミコナゾールはそのまま処方され,患者は服用を開始した。服用後5日目に両上肢,下肢に広範な点状出血,皮下出血を認め,当院循環器内科を受診した。PT-INRは10以上で測定不能であった。即日入院の上,ビタミンKにて拮抗処置がなされた。入院2日目にPT-INRは1.44に低下し,以降重篤な出血は認めず入院5日目に退院となった。
【考察】
ワルファリンは主な薬理活性体であるSワルファリンの代謝酵素であるCYP2C9の活性に大きな変動を及ぼすミコナゾール等の薬剤との相互作用が問題となる。両者の併用による出血の合併症として硬膜下血腫や消化管出血の報告がある。本症例も拮抗処置がなければこれらの重篤な出血の合併症に至った可能性があったと考えられる。
処方医と調剤薬局が既に処方されている薬剤を含めての確認作業に不備があった点,電子カルテ上での注意喚起,調剤薬局での疑義照会のシステム等双方でのチェック機構の不備等が本症の原因と思われた。
【結論】
既処方薬の確認や併用禁忌に対する注意喚起システムの見直しが処方医側および調剤薬局側の双方に必要と考えられた。