一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題口演

連携医療・地域医療

連携医療・地域医療

2018年6月22日(金) 14:40 〜 15:10 第2会場 (1F 小ホール)

座長:枝広 あや子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所)

[O1-17] 在宅訪問診療に従事する歯科衛生士の現状とニーズに関する調査報告

○渡邉 理沙1,2,3、塚本 圭子2、前田 愼二2、谷口 裕重4 (1. 愛知県歯科衛生士会、2. 前田デンタルクリニック、3. 東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野、4. 藤田保健衛生大学医学部歯科口腔外科)

【目的】
 高齢化の進展に伴い,医療現場では医療・介護の地域包括ケアシステムの構築が急務である。そのため,地域の実態を把握し,システム構築の基盤作りが進められている。今回,愛知県内某保健所管内において,在宅口腔ケア推進の基盤構築のために,従事者の現状とニーズを把握し,地域の課題を明らかにすることを目的に実態調査を実施したので報告する。
【対象と方法】
 愛知県某保健所管内歯科医院に勤務している歯科衛生士(以下DH)を対象とした。管内の歯科医院212軒にアンケート調査票を送付し178名から回答を得た。調査項目は実務経験年数,勤務形態などの基本情報と,在宅訪問診療(以下在宅診療)の経験の有無,DHの単独介入の有無,主な業務内容などの大項目を設定し,さらに在宅診療の経験の有無によって,今後の従事希望の有無や,現在従事しない,あるいはできない理由について調査した。
【結果と考察】
 実務経験年数は平均14.8±10.4年であった。勤務形態は常勤が55.1%,非常勤が39.3%,フリーが5.6%だった。在宅診療の経験者は44.9%であり,それらの在宅診療内容は診療介助と口腔衛生指導が主であった。また単独訪問経験者は18.5%だった。在宅診療未経験者のうち32.7%は,今後従事希望があり,従事希望のない63.3%の理由は自信がないため不安であるという回答が最も多かった。具体的な内容としては,疾患に対する知識や,摂食嚥下機能に関する知識不足が多かった。地域における在宅診療の需要が増加することを考慮すると,現状では人材不足に陥ることが予想される。従事希望者を確保するためには,継続した人材育成をしていくことが当地域における課題であると示唆された。