The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

実態調査

実態調査

Fri. Jun 22, 2018 3:10 PM - 3:40 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:玄 景華(朝日大学歯学部口腔病態医療学講座障害者歯科学分野)

[O1-25] 高齢期の食品摂取頻度に及ぼす咀嚼力の影響

○渡邉 功1、松井 大輔1 (1. 京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学)

【目的】
 フレイルの予防・改善には,高齢期の低栄養を防ぎ,身体活動性を高めることが重要とされ,食欲や摂取栄養素・食品群の多様性の維持に口腔機能が注目されている。本研究は咀嚼を構成する咬合支持・咬合力・咀嚼能力と食品摂取頻度の関連を明らかにする。
【方法】
 2017年に実施したJ-MICC Study京都フィールドに参加した60歳以上の894人(男315人, 女579人; 平均年齢67.7歳)を対象に,口腔内診査(残存歯数),咬合力測定(オクルーザルフォースメーター),咀嚼能力検査(グルコセンサーGS-2),食品摂取頻度調査(FFQ)を実施した。食品分類は日本食品標準成分表を用いた。残存歯数(歯数)は≧20本/10~19本/0~9本の3群,咬合力・咀嚼能力は男女別に平均値を基準に良好・不良の2群に分類し,FFQ点数を群間比較した。
【結果】
 歯数≧20本が739人,10-19本が103人,0-9本が52人であった。歯数3群間で年齢及び咀嚼能力に有意差を認めたが,咬合力に差はなかった。FFQ点数に群間で有意差のあった食品群(類)は,歯数で種実・野菜・果実・乳・油脂・調味料,咬合力では魚介,咀嚼能力では野菜・果実・肉・魚介・卵・乳・菓子であった。歯数・咬合力・咀嚼能力の不良群で頻度が多かったのは,油脂・調味料であった。
【考察】
 食品摂取頻度低下に残存歯数と咀嚼能力が関与する可能性が示された。口腔周囲のサルコペニアと咀嚼力(咬合支持と咀嚼能力)は双方向に連関すると考えられる。一方で,咬合力は食品摂取頻度に大きな影響を与えないかもしれない。食品摂取頻度の多様性を維持するには,歯を残し,口腔機能の巧緻性を保つことが重要であると考えられた。