The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題口演

実態調査

実態調査

Fri. Jun 22, 2018 3:10 PM - 3:40 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:玄 景華(朝日大学歯学部口腔病態医療学講座障害者歯科学分野)

[O1-26] 訪問嚥下診療において嚥下内視鏡を用いて摂食嚥下機能を評価し食支援を行った680症例の報告

○田實 仁1、太田 博見1、益山 彩加1、市來 未早1、中野 ちえ子1、野原 幹司2 (1. 医療法人仁慈会 太田歯科医院 訪問歯科診療センター、2. 大阪大学歯学部付属病院顎口腔機能治療部)

【目的】
 超高齢社会に伴い訪問嚥下診療にて嚥下機能評価を行う機会が増えている。嚥下機能障害は誤嚥性肺炎や低栄養の原因となり得,患者や家族のQOL低下にも繋がる。今回主治医と当訪問歯科診療センターが連携し,訪問嚥下診療にて嚥下内視鏡(以下VE)を用い嚥下機能評価と食支援を行った680症例について報告する。
【方法】
 2012年1月から2018年1月までに訪問嚥下診療にてVEを用いて嚥下機能評価を行った680例(平均年齢79.87±12.17歳)を対象とし,対象症例の診療録とVE実施記録を参考資料とし後ろ向きに調査を行った。評価前後および食支援後の機能的経口摂取状態をfunctional oral intake scale(FOIS)を用い評価し比較・検討した。
【結果】
 原因疾患では脳血管疾患と神経変性疾患が全体の75%を占めた。評価前禁食症例233例中,評価後少量でも経口摂取可能症例は184例(79.0%)であった。経管栄養症例409例中,食支援後全量経口摂取へ移行した症例は39例(9.5%)であった。禁食から経口摂取可能割合および経管栄養から全量経口摂取移行割合ともに,脳血管疾患群と神経変性疾患群では有意差は認められなかった。
【考察】
 訪問嚥下診療において主治医と連携しVE等を用い嚥下機能評価と食支援を行うと,疾患によらず一定の割合で経口摂取可能症例および全量経口摂取移行症例が存在することが示唆された。急性期,回復期から在宅復帰後にも嚥下機能は変化し得るため,嚥下機能障害患者を地域で支えることが必要である。つなぐ食支援を実践し,変化に応じ嚥下機能を評価し多職種で協働し支援する訪問嚥下診療をより充実させることが必要と考えられる。