The 29th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

一般演題口演

口腔機能

口腔機能

Sat. Jun 23, 2018 1:10 PM - 1:40 PM 第3会場 (6F 大会議室)

座長:山森 徹雄(奥羽大学歯学部歯科補綴学講座)

[O2-15] 丹波圏域在住高齢者における口腔機能低下症とフレイルとの関連性

○堀井 宣秀1、長谷川 陽子1,2、杉田 英之1、定兼 亜弓1、新村 健3、澤田 隆4、岸本 裕充1 (1. 兵庫医科大学歯科口腔外科学講座、2. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野、3. 兵庫医科大学内科学総合診療科、4. 兵庫県歯科医師会)

【目的】
 オーラルフレイルは口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含みフレイルに繋がると考えられている。本研究の目的は兵庫県丹波圏域在住高齢者を対象に,口腔機能低下症とフレイルとの関連性を明らかにすることである。
【方法】
 対象は兵庫県篠山市とその周辺地域在住の自立した65歳以上の高齢者で,平成28年6月~平成29年11月に実施された学術研究調査に参加した607名とした。フレイルの判定は基本チェックリストを用い,対象者を健常/プレフレイル/フレイルの3群に分類した。口腔機能低下症の診断は日本老年歯科学会の基準に従い,口腔不潔(細菌カウンタを用いた細菌数),口腔乾燥(ムーカスを用いた舌湿潤度),咬合力低下(オクルーザルフォースメーター),舌口唇運動機能低下(オーラルディアドコキネシス),低舌圧(最大舌圧),咀嚼機能低下(グミゼリーによるスコア法),嚥下機能低下(反復唾液嚥下テスト)の7項目中3項目以上が該当する場合とした。統計学的検討は相関分析,χ2検定を用いた。
【結果】
 対象者のうち口腔機能低下症と診断されたのは268名(44.2%)で,口腔機能低下症でプレフレイル/フレイルと判定されたのは91名/29名(合計44.8%)に対し,口腔機能低下症はなくプレフレイル/フレイルと判定されたのは97名/23名(合計35.4%)であり,口腔機能低下例でプレフレイル/フレイルの罹患率が有意に高かった。また口腔機能低下症の診断7項目中,口腔不潔と診断された者が最も多く(88.5%),次いで口腔乾燥(51.1%)であった。
 以上の結果から健康寿命には口腔機能低下を防ぐことが必要であり,口腔衛生を健全に保つことが重要であることが示された。