[O2-14] 終末期要介護高齢者の転帰と口腔状況との関係
―特定地域悉皆調査に基づく検討―
【目的】
終末期にある要介護高齢者の死亡原因は疾患の他にADL低下による全身状態悪化等の影響が大きいと考えられる。介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)を対象とした生命予後と口腔状況に関する研究は行われているが,施設種別の比較研究はなく口腔機能を含めた検討はほとんど行われていない。そこで特定地域悉皆縦断調査データを用いて1年間の死亡発生に関連する因子を検討した。
【方法】
2016年調査に参加したA県在住の要介護高齢者390名(平均年齢85.2±8.4歳,男性94名,女性296名)を対象とし,調査項目は性,年齢,既往歴,歯数,口腔乾燥,発音明瞭度等とした。1年後の生存者群303名と死亡者群87名について施設ごとに死亡発生の関連因子を検討した。
【結果と考察】
1年間の死亡者は通所3/46名,在宅1/12名,グループホーム4/41名,療養病床46/88名,老健17/97名,特養16/106名であった。療養病床では2群間に有意差は認めなかった。老健では死亡者群で有意に機能歯およびタ音明瞭者が少なく口腔乾燥が顕著な者が多かった。特養では死亡者群で有意に循環器疾患者および発音不明瞭者が多く機能歯が少なかった。さらに死亡発生の関連因子(オッズ比,95%CI)を検討した結果,老健では口腔乾燥(6.92,1.27-37.70),特養ではタ音明瞭度(4.83,1.08-21.70)が独立した因子として抽出された。終末期にある要介護高齢者の口腔状況は施設ごとで異なる可能性が示唆された。歯科専門職が終末期にある要介護高齢者に携わる際には,口腔乾燥や発語等口腔の状態変化に注意し予後を見据えた口腔機能管理を行う必要があると考える。
終末期にある要介護高齢者の死亡原因は疾患の他にADL低下による全身状態悪化等の影響が大きいと考えられる。介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)を対象とした生命予後と口腔状況に関する研究は行われているが,施設種別の比較研究はなく口腔機能を含めた検討はほとんど行われていない。そこで特定地域悉皆縦断調査データを用いて1年間の死亡発生に関連する因子を検討した。
【方法】
2016年調査に参加したA県在住の要介護高齢者390名(平均年齢85.2±8.4歳,男性94名,女性296名)を対象とし,調査項目は性,年齢,既往歴,歯数,口腔乾燥,発音明瞭度等とした。1年後の生存者群303名と死亡者群87名について施設ごとに死亡発生の関連因子を検討した。
【結果と考察】
1年間の死亡者は通所3/46名,在宅1/12名,グループホーム4/41名,療養病床46/88名,老健17/97名,特養16/106名であった。療養病床では2群間に有意差は認めなかった。老健では死亡者群で有意に機能歯およびタ音明瞭者が少なく口腔乾燥が顕著な者が多かった。特養では死亡者群で有意に循環器疾患者および発音不明瞭者が多く機能歯が少なかった。さらに死亡発生の関連因子(オッズ比,95%CI)を検討した結果,老健では口腔乾燥(6.92,1.27-37.70),特養ではタ音明瞭度(4.83,1.08-21.70)が独立した因子として抽出された。終末期にある要介護高齢者の口腔状況は施設ごとで異なる可能性が示唆された。歯科専門職が終末期にある要介護高齢者に携わる際には,口腔乾燥や発語等口腔の状態変化に注意し予後を見据えた口腔機能管理を行う必要があると考える。