[P一般-110] 上顎全部床義歯の脱離と咀嚼障害を臼歯部人工歯置換により即日修理した一例
【目的】
不適切な義歯を使用している患者に対して,時間を要する義歯新製や義歯の預かり修理をすることは,咀嚼機能および嚥下機能の低下を招き栄養状態の悪化を引き起こし,フレイルの一因となる場合がある。特に認知機能の低下した要介護者では,1週間でも義歯を装着していないと再び義歯を使用することが困難となる可能性もある。
本症例は,人工歯の咬耗により下顎前歯の突き上げを生じ,義歯の脱離と咀嚼障害に対して適合良好であったため義歯の新製や預かり修理ではなく,即日修理で対応した一例である。
【症例】
患者は,東京医科歯科大学歯学部附属病院スペシャルケア外来において平成28年1月に上下顎総義歯を新製し,その後経過良好であった。しかし,平成29年9月に上顎総義歯の脱離と咀嚼障害を主訴に来院した77歳男性である。上顎総義歯の臼歯部人工歯が著しく咬耗しアンチモンソンカーブを呈していた。それにより下顎前歯の突き上げが生じ,義歯が安定せず咀嚼障害を訴えていた。
【処置】
平成29年10月に上顎総義歯の臼歯部人工歯をチェアサイドにて置換する処置を行った。まず,前歯部で1mm咬合挙上した位置で咬合採得を行った。その後,下顎総義歯を咬合器装着し上顎総義歯の臼歯部の人工歯を削合した。置換する人工歯は,ベラシアSAポステリア キュービックパック S28(松風)を用いた。咬合器上で置換し,口腔内で咬合調整を行った。所用時間は約1時間強であった。
その後,数回の義歯調整を行い,経過良好であり新製の必要性はないと判断した。
【考察】
義歯を使用している高齢患者の義歯修理において,預かり修理ではなく即日修理をすることは,食生活の維持の観点から非常に有効であると考える。
不適切な義歯を使用している患者に対して,時間を要する義歯新製や義歯の預かり修理をすることは,咀嚼機能および嚥下機能の低下を招き栄養状態の悪化を引き起こし,フレイルの一因となる場合がある。特に認知機能の低下した要介護者では,1週間でも義歯を装着していないと再び義歯を使用することが困難となる可能性もある。
本症例は,人工歯の咬耗により下顎前歯の突き上げを生じ,義歯の脱離と咀嚼障害に対して適合良好であったため義歯の新製や預かり修理ではなく,即日修理で対応した一例である。
【症例】
患者は,東京医科歯科大学歯学部附属病院スペシャルケア外来において平成28年1月に上下顎総義歯を新製し,その後経過良好であった。しかし,平成29年9月に上顎総義歯の脱離と咀嚼障害を主訴に来院した77歳男性である。上顎総義歯の臼歯部人工歯が著しく咬耗しアンチモンソンカーブを呈していた。それにより下顎前歯の突き上げが生じ,義歯が安定せず咀嚼障害を訴えていた。
【処置】
平成29年10月に上顎総義歯の臼歯部人工歯をチェアサイドにて置換する処置を行った。まず,前歯部で1mm咬合挙上した位置で咬合採得を行った。その後,下顎総義歯を咬合器装着し上顎総義歯の臼歯部の人工歯を削合した。置換する人工歯は,ベラシアSAポステリア キュービックパック S28(松風)を用いた。咬合器上で置換し,口腔内で咬合調整を行った。所用時間は約1時間強であった。
その後,数回の義歯調整を行い,経過良好であり新製の必要性はないと判断した。
【考察】
義歯を使用している高齢患者の義歯修理において,預かり修理ではなく即日修理をすることは,食生活の維持の観点から非常に有効であると考える。