[P一般-111] 延髄梗塞後に胃瘻を造設した重度嚥下障害患者が2年後に常食摂取が可能となった一例
【目的】
延髄梗塞により唾液誤嚥レベルの重度嚥下障害を発症したが,発症から2年後に常食を3食経口摂取できるまでに回復した患者の一例について紹介する。
【症例】
70際男性。延髄梗塞を発症し2ヵ月後に胃瘻を造設したのち,リハビリテーション病院に入院した。患者は摂食嚥下訓練を強く望んでいたが,経口摂取できる見込みは低いと説明され,十分な嚥下訓練は行われずに自宅退院となった。発症から4ヵ月後の当院初診時は,気息性嗄声を認め,唾液を飲み込めずに喀出している状態であった。嚥下内視鏡検査では,左声帯の完全麻痺による声門閉鎖不全と唾液誤嚥を認めた。バルーン拡張法を試行した後であれば,60度リクライニング位,右側臥位,頸部左回旋で2ccの水とスライスゼリーの摂取が可能であった。そこで,バルーン拡張法と水2ccの直接訓練を始め,初診日から2ヵ月後にトロミ付きジュースとヨーグルトの直接訓練へと移行し,4ヵ月後に90度座位,頸部左回旋位でパンと冷凍の摂食回復支援食の摂取を開始した。初診日から1年後に歯茎でつぶせる程度の軟らかい食事を摂取が可能になり,1年半後には付着性の強いもの,硬いものを除いた常食を一日1食摂取を始め,約2年後には90度座位,頸部正中位で団子やゴボウも誤嚥せずに自力摂取できるようになり,3食経口摂取となった。ただし,左声帯の麻痺による気息性嗄声はあり,とろみなし水分では不顕性誤嚥を認めるため,水分のみ胃瘻から摂取している。
【考察】
延髄梗塞により唾液を嚥下できないほどの重度の嚥下障害患者に対し,年単位で経過を追いながら訓練と食事指導を継続することで,常食を3食経口摂取できるまでに回復できたと考えた。
延髄梗塞により唾液誤嚥レベルの重度嚥下障害を発症したが,発症から2年後に常食を3食経口摂取できるまでに回復した患者の一例について紹介する。
【症例】
70際男性。延髄梗塞を発症し2ヵ月後に胃瘻を造設したのち,リハビリテーション病院に入院した。患者は摂食嚥下訓練を強く望んでいたが,経口摂取できる見込みは低いと説明され,十分な嚥下訓練は行われずに自宅退院となった。発症から4ヵ月後の当院初診時は,気息性嗄声を認め,唾液を飲み込めずに喀出している状態であった。嚥下内視鏡検査では,左声帯の完全麻痺による声門閉鎖不全と唾液誤嚥を認めた。バルーン拡張法を試行した後であれば,60度リクライニング位,右側臥位,頸部左回旋で2ccの水とスライスゼリーの摂取が可能であった。そこで,バルーン拡張法と水2ccの直接訓練を始め,初診日から2ヵ月後にトロミ付きジュースとヨーグルトの直接訓練へと移行し,4ヵ月後に90度座位,頸部左回旋位でパンと冷凍の摂食回復支援食の摂取を開始した。初診日から1年後に歯茎でつぶせる程度の軟らかい食事を摂取が可能になり,1年半後には付着性の強いもの,硬いものを除いた常食を一日1食摂取を始め,約2年後には90度座位,頸部正中位で団子やゴボウも誤嚥せずに自力摂取できるようになり,3食経口摂取となった。ただし,左声帯の麻痺による気息性嗄声はあり,とろみなし水分では不顕性誤嚥を認めるため,水分のみ胃瘻から摂取している。
【考察】
延髄梗塞により唾液を嚥下できないほどの重度の嚥下障害患者に対し,年単位で経過を追いながら訓練と食事指導を継続することで,常食を3食経口摂取できるまでに回復できたと考えた。