[P一般-112] 舌癌術後患者へ舌接触補助床、人工舌床を作製した一例
【目的】
舌癌術後の症例に対し,舌接触補助床(PAP),人工舌床(LAP)の装着が送りこみ障害の軽減に効果的だった症例を報告する。
【症例】
患者は64歳の男性である。左側舌癌(T3M0N0,中分化型扁平上皮癌)に対し全身麻酔下で左側舌半側切除,左側頸部郭清術,左前腕血管柄付き再建術,気管切開術を施行した。術後は経鼻経管で栄養管理を行っていた。口腔内の状況は残存歯が上顎4歯,下顎10歯で咬合支持は前歯部3歯(Eichnerの分類:B4)であった。
【経過】
術後10日にVE検査,術後16日にVF検査を施行した。検査の結果より少量の唾液誤嚥を認めたが咽頭腔の狭小と喉頭蓋の反転,軟口蓋の挙上は十分に認められた。水分のコップ飲みで喉頭侵入,不顕性誤嚥が確認された。薄いトロミ,嚥下調整食コード2-1では誤嚥は認めなかったが口底部,舌背上へ食物の残留を認めた。
咽頭機能の低下は軽度だが舌の欠損に伴う口腔期障害に対しPAP,LAPを作製することとした。並行して昼食から嚥下調整食2-1で経口摂取を開始した。術後25日に3食経口摂取可能となり経鼻経管を抜去し完全経口摂取となった。
術後57日にPAP,LAPが完成し術後70日にVF検査を行った。PAP,LAPの装着により食物の送りこみが容易となり,食事時の負担は軽減した。食事形態は刻み食が適当と判定した。術後74日,自宅へ退院し現在は定期的にPAPやLAPの形態の調整を行っている。
【考察】
舌の広範な欠損に対しPAP,LAPの装着は食事負担の軽減に効果的であった。今後,広範な舌の欠損が予想される場合は術前からPAPの作製をするなど早期に口腔期障害への代償的アプローチを試みる必要があると考える。
舌癌術後の症例に対し,舌接触補助床(PAP),人工舌床(LAP)の装着が送りこみ障害の軽減に効果的だった症例を報告する。
【症例】
患者は64歳の男性である。左側舌癌(T3M0N0,中分化型扁平上皮癌)に対し全身麻酔下で左側舌半側切除,左側頸部郭清術,左前腕血管柄付き再建術,気管切開術を施行した。術後は経鼻経管で栄養管理を行っていた。口腔内の状況は残存歯が上顎4歯,下顎10歯で咬合支持は前歯部3歯(Eichnerの分類:B4)であった。
【経過】
術後10日にVE検査,術後16日にVF検査を施行した。検査の結果より少量の唾液誤嚥を認めたが咽頭腔の狭小と喉頭蓋の反転,軟口蓋の挙上は十分に認められた。水分のコップ飲みで喉頭侵入,不顕性誤嚥が確認された。薄いトロミ,嚥下調整食コード2-1では誤嚥は認めなかったが口底部,舌背上へ食物の残留を認めた。
咽頭機能の低下は軽度だが舌の欠損に伴う口腔期障害に対しPAP,LAPを作製することとした。並行して昼食から嚥下調整食2-1で経口摂取を開始した。術後25日に3食経口摂取可能となり経鼻経管を抜去し完全経口摂取となった。
術後57日にPAP,LAPが完成し術後70日にVF検査を行った。PAP,LAPの装着により食物の送りこみが容易となり,食事時の負担は軽減した。食事形態は刻み食が適当と判定した。術後74日,自宅へ退院し現在は定期的にPAPやLAPの形態の調整を行っている。
【考察】
舌の広範な欠損に対しPAP,LAPの装着は食事負担の軽減に効果的であった。今後,広範な舌の欠損が予想される場合は術前からPAPの作製をするなど早期に口腔期障害への代償的アプローチを試みる必要があると考える。