一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

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2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-126] 義歯安定剤が義歯の維持力および咬合力に与える影響
ー多施設無作為化比較試験ー

○黒木 唯文1、吉田 和弘1、村田 比呂司1 (1. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科補綴学分野)

【目的】
 近年,義歯安定剤の市場は,超高齢社会に伴い大きくなっている。しかしながら,本剤の効果,使用基準など明確なものは存在しない。そこで,義歯安定剤に関するエビデンス構築のため,10施設共同による前向き無作為割り付け臨床試験を行った。今回は,義歯安定剤が義歯の維持力および咬合力に与える影響についてサブグループ解析を行ったので報告する。
【方法】
 多施設共同研究型3群パラレル無作為化比較試験,介入群はクリームタイプ(歯科用ポリデント無添加,GSK)群,パウダータイプ(ポリグリップパウダー無添加,GSK)群とし,対照群はコントロール(生理食塩水,大塚製薬)群とした。被験者は上下顎無歯顎患者とし,研究に同意を得られた後に無作為に割り付けられた。義歯の維持力および咬合力は,オクルーザルフォースメーター(GM10,長野計器)を使用して測定した。患者に前歯部正中で咬合させ義歯が脱離するまでの最大値を維持力,左右第一大臼歯部位で咬合させた時の最大値を咬合力とした。施行回数はそれぞれ3回とし,得られたデータより,介入前後の比較を行った。統計処理は,Wilcoxon signed-rank testを用いた。
【結果と考察】
 介入前後の比較では,クリーム群は,維持力,咬合力ともに有意に増加を認めた(p<0.05)。無歯顎評価による症例難易度において介入効果は様々で,クリーム群では,難易度レベルⅡ群で,維持力,咬合力ともに有意な増加を認めた(p<0.05)が,レベルⅠ群とレベルⅢ群では有意差を認めなかった。パウダー群では,難易度レベルⅡ群で咬合力が増加傾向だった。以上のことより,義歯安定剤の使用は,症例難易度で効果に差が出る可能性が示唆された。