[P一般-027] 嚥下補助器具を用い多職種が連携して摂食嚥下機能を改善した症例
【目的】
近年,かねてより続く社会全体の高齢化に対応すべく,訪問診療,在宅医療のさらなる充実が図られているが,その中で歯科医療の果たす役割は小さくない。一方,その学術的データの基礎となる症例報告の数はいまだ十分とはいえないのが現状である。今回,脳梗塞の発症により口唇閉鎖力に障害を持つ患者に対し,訪問診療にて多職種が連携し,摂食嚥下訓練を行い,口唇閉鎖力および摂食嚥下機能の向上と審美的回復がなされた症例について報告する。
【対象と方法】
患者は脳梗塞を再発し,リハビリ病院より施設へ転所した79歳女性であり,全身に左麻痺が残り,要介護1の認定を受けていた。歯科診療については,上顎部分床義歯の調整および下顎右側部の急性歯周炎の治療を要する状況であり,施設からの依頼を受け治療を開始した。一連の歯科治療により咀嚼機能および審美性の改善が認められたが,本人,周囲の要望により,さらに満足度の高い機能回復のための嚥下訓練を行った。まず,摂食嚥下評価と内視鏡による機能検査を行い,その結果から,筋力向上を図る顔面マッサージ,電動ブラシを改良した嚥下補助器具の使用,口唇閉鎖力の向上を目的としフェイシャルエクササイズ機器を毎日行った。施設職員に対して,使用方法を指導,管理を依頼した。
【結果と考察】
日々の摂食嚥下訓練により,口唇閉鎖力・摂食嚥下機能の向上および左顔面の麻痺は軽減が認められ,家族や友人と外食に行くことも可能になった。本症例により身体機能と心が密接な関連性を持つこと,とりわけ自分の口を用いて食事を摂ることの重要性をあらためて認識した。今後も,これら症例に積極的に取り組み,引き続きどのように歯科医療が寄与できるのかを考えていきたい。
近年,かねてより続く社会全体の高齢化に対応すべく,訪問診療,在宅医療のさらなる充実が図られているが,その中で歯科医療の果たす役割は小さくない。一方,その学術的データの基礎となる症例報告の数はいまだ十分とはいえないのが現状である。今回,脳梗塞の発症により口唇閉鎖力に障害を持つ患者に対し,訪問診療にて多職種が連携し,摂食嚥下訓練を行い,口唇閉鎖力および摂食嚥下機能の向上と審美的回復がなされた症例について報告する。
【対象と方法】
患者は脳梗塞を再発し,リハビリ病院より施設へ転所した79歳女性であり,全身に左麻痺が残り,要介護1の認定を受けていた。歯科診療については,上顎部分床義歯の調整および下顎右側部の急性歯周炎の治療を要する状況であり,施設からの依頼を受け治療を開始した。一連の歯科治療により咀嚼機能および審美性の改善が認められたが,本人,周囲の要望により,さらに満足度の高い機能回復のための嚥下訓練を行った。まず,摂食嚥下評価と内視鏡による機能検査を行い,その結果から,筋力向上を図る顔面マッサージ,電動ブラシを改良した嚥下補助器具の使用,口唇閉鎖力の向上を目的としフェイシャルエクササイズ機器を毎日行った。施設職員に対して,使用方法を指導,管理を依頼した。
【結果と考察】
日々の摂食嚥下訓練により,口唇閉鎖力・摂食嚥下機能の向上および左顔面の麻痺は軽減が認められ,家族や友人と外食に行くことも可能になった。本症例により身体機能と心が密接な関連性を持つこと,とりわけ自分の口を用いて食事を摂ることの重要性をあらためて認識した。今後も,これら症例に積極的に取り組み,引き続きどのように歯科医療が寄与できるのかを考えていきたい。