The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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課題口演

ライブ

口腔機能低下症

Sat. Nov 7, 2020 11:10 AM - 12:50 PM A会場

[課題2-3] 咀嚼機能がメタボリックシンドローム罹患およびその構成因子に及ぼす影響―吹田研究―

○伏田 朱里1、高阪 貴之1、來田 百代1、小久保 喜弘2、野首 孝祠3、小野 高裕4、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野、2. 国立循環器病研究センター予防健診部、3. 大阪大学、4. 新潟大学大学院歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)

【目的】

 我々は,口腔機能の一つである咀嚼機能に着目し,咀嚼能率とメタボリックシンドローム(Metabolic syndrome: 以下MetS)の罹患およびその構成因子(腹部肥満,血圧高値,高中性脂肪血症,低HDLコレステロール血症,血糖高値)との関連について明らかにするために,都市部一般住民を対象とした追跡調査を行った.

【方法】

 平成20年6月から平成25年6月までの期間に,国立循環器病研究センター予防健診部の健康診査を受診した大阪府吹田市一般住民で,NCEP-ATPⅢ基準(腹囲はアジア基準)によりMetSなしと診断した599名(男性254名,女性345名,平均年齢65.8±7.8名)を対象とし,追跡調査を行った(平均追跡期間4.4±1.3年).対象者のベースライン時の咀嚼能率(咀嚼能力測定用グミゼリー30回咀嚼後の咬断片表面積増加量)を測定し,下位25%を咀嚼能率低値群,それ以外を咀嚼能率非低値群に分類した.ベースライン時の咀嚼能率非低値群を基準とし,低値群における,フォローアップ時のMetSの罹患および各構成因子に対するリスクを算出するためにCox比例ハザードモデルを用い,男女別に解析した.調整変数は,年齢,歯周状態,喫煙習慣とした.

【結果と考察】

フォローアップ時にMetS罹患が認められたのは88名(男性50名,女性38名)であった.解析の結果,男性において,咀嚼能率とMetS罹患との間に有意な関連が認められた(ハザード比(HR):2.24,95%信頼区間(CI):1.34-4.50).一方,女性においては有意な関連は認められなかった.各構成因子について,男性は咀嚼能率と血圧高値(HR:3.12,95%CI:1.42-6.87),高中性脂肪血症(HR:2.82,95%CI:1.18-6.76),血糖高値(HR:2.65,95%CI:1.00-7.00)との間に有意な関連が認められたが,女性はすべての構成因子において有意な関連が認められなかった.本研究より,咀嚼能率が低い場合,MetS罹患のリスクとなることが示され,咀嚼機能の向上および維持がMetS予防に貢献する可能性が示唆された.

(COI開示:なし)
(国立循環器病研究センター 倫理審査委員会承認番号 M19-62)