一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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課題口演

ライブ

口腔機能低下症

2020年11月7日(土) 11:10 〜 12:50 A会場

[課題2-4] 口腔機能関連筋(舌、舌骨上筋群)の減弱要因は何か 
-加齢、全身骨格筋量、歯の欠損との関連について-

○山口 浩平1、原 豪志1、中川 量晴1、吉見 佳那子1、Chantaramanee Ariya1、中根 綾子1、古屋 純一1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)

【目的】

口腔機能低下の主要因は歯の欠損や加齢であるが、咀嚼筋や舌、舌骨上筋など口腔機能に関連する筋肉の量、質の減弱も機能低下の一因と考えられている。しかしながら、健常者の舌や舌骨上筋群といった口腔機能関連筋の減弱要因はまだ十分に調査されていない。そのため、本研究では、健常者の口腔機能関連筋の減弱要因を明らかにするために、舌、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹断面積と加齢、全身骨格筋量、歯の欠損との関連を検討した。

【方法】

対象者は、地域在住の23〜86才の146名(男性:60名、女性:86名)とした。対象者に対して歯の欠損状態 (Eichner分類)、体格指数(BMI)、四肢骨格筋量指数(SMI)を計測し、また超音波診断装置により、舌、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹の断面積を評価した。男女別に、成人群(65歳未満)と高齢者群(65歳以上)の舌、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹断面積を差の検定で比較した。さらに舌、オトガイ舌骨筋、顎二腹筋前腹断面積をそれぞれ従属変数とした重回帰分析を男女別に行い、関連因子を検討した。説明変数は、加齢(65歳未満か65歳以上)、歯の欠損 (Eichner分類)、BMI、SMIとした。

【結果と考察】

成人群は47名(男性23名、女性24名)、高齢群は99名(男性37名、女性62名)であった。舌断面積は男女いずれも成人群と高齢者群間で有意な差はなかったが、平均値は高齢者群の方が大きかった。舌骨上筋群断面積は男女いずれも高齢者群で有意に小さかった。重回帰分析の結果、男性舌断面積は、加齢、BMI、SMI(p<0.05)と有意であった。女性の舌断面積の解析では有意な結果は得られなかった。男女いずれも、オトガイ舌骨筋断面積は加齢 (p<0.01)が、顎二腹筋前腹は加齢とBMI (p<0.01)がそれぞれ有意であった。いずれの筋肉も断面積と加齢の関連があり、歯の欠損は関連しなかった。また、舌は加齢によって肥大化する傾向にあり、舌骨上筋群は萎縮した。以上の結果より、口腔機能関連筋それぞれの特異的な加齢変化が示された。舌断面積と全身骨格筋との関連も示された。現在の口腔機能低下症診断項目に口腔機能関連筋評価を加えることで、診断精度の向上や重症度の判別につながる可能性もあり、今後、更なる調査を進めていく。

(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認番号:D2014-047)