[認定P-01] 繰り返す脳梗塞による摂食嚥下障害が代替栄養と歯科的介入で改善が見られた1例
【目的】脳血管疾患では虚血性、出血性によらず脳の損傷の部位と大きさにより異なるが、嚥下障害が生じ、程度も様々である。慢性期では疾患の症状や加齢による予備力の低下などから嚥下障害が悪化することがあるため、状態に合わせた対応が必要となる。今回、繰り返す脳梗塞による摂食嚥下障害が胃瘻造設及び歯科的介入により改善が見られた症例を経験したので報告する。【症例および経過】84歳男性、164㎝、64㎏、BMI23.8,陳旧性脳梗塞により右上下肢麻痺、意識清明、構音やや不明瞭、PD(上顎のみ)、介護度5、H27,2月左小脳梗塞、3,4月右小脳梗塞、6月右橋~延髄梗塞。H28,3月左橋梗塞発症。H29,3月経鼻経管(800kal)から胃瘻造設(バルーン型)へ変更。歯科的介入(直接、間接訓練、PAPの作製)、ベッド上リクライニング60~70°で胃瘻(900kcal)とお楽しみでプリン、ヨーグルトだけから軟飯、柔らかい牛肉(小片)、白身魚の煮つけなどの自己摂取が可能になった。端座位やポールにつかまりながらの立位が可能になり体幹機能の回復とともに口腔機能(口腔周囲筋力、口唇閉鎖力、舌圧、舌の可動域など)の向上や構音機能の明瞭化も見られ、摂食嚥下障害の改善もかなり見られた。【結果と考察】脳血管疾患では短期間に症状の悪化が進むため早い時期のリハビリの介入が必要であるが、しかし十分な栄養が得られなければ筋力の回復、強化は望めない。同様に摂食嚥下機能に関わる筋力の回復も望めず、経口摂取は難しくなる。本症例は、チューブ管理、栄養管理から歯科的介入が制限されやすい経鼻経管から胃瘻による代替栄養に変更することにより、体幹機能のみならず難しかった経口摂取が可能になる摂食嚥下機能の改善や端座位や立位が可能になるなどリハビリの進度にもかなり良い影響が見られた。(COI開示:なし)