[優秀P一般-03] 歯学部1年生の生や死に対する知識および意識調査
【目的】
終末期患者に対して歯科医療職の食事支援や口腔ケアなどを通した関わりがQOL(Quality of Life)やQOD(Quality of Death)に重要とされている。しかし,死生学に関連する系統的な歯学教育は少ない。したがって,終末期患者および家族に適切に関われる歯科医療職の育成に向けた教育が必要であり,学生の死生観などを調査して効果的な教育内容を検討してきた1-3)。低学年への教育が効果的と考え,5年前に歯学部1年生に調査を行った1)。しかし,当時と高齢者に関する社会倫理は変化している。そこで,歯学部1年生に対して再度,調査を行ったので報告する。
【方法】
対象は,日本大学松戸歯学部歯学部1年生115人(男性73人,女性42人:平均19.6歳)とした。方法は,独自で作成した無記名自記式の質問票を配布し,回収する方法とした。項目は,身近な人との死別経験の有無,生や死に対する意識や知識に関する項目とした。本研究は日本大学松戸歯学部倫理審査委員会の承認後に行った(EC16-008) 。
【結果と考察】
知識は最も知っている割合が少なかったのが「グリーフワーク」20%,次いで「胃瘻」35%,その他に「終末期」61%,「献体」60%とメディアなどで使用している言葉であっても常識ではないとわかった。身近な人との死別経験者は77%で,そのうち16%は死別経験が歯学部選択に影響したと回答した。死別経験の有無による意識は全項目で統計学的有意差を認めなかった。胃瘻造設に関する意見を求められ場合“関わりたくない”が死別経験ありで14.6%,死別経験なしで23.0%であった。今後は,各人の経験によって得た死生観を尊重した上で,歯科医療職としてのプロフェッショナリズムを意識しながら生や死に関する教育を導入し,終末期患者やその家族と向き合える人材の育成が求められると示唆された。
【文献】
1遠藤眞美,野本たかと:某歯科大学附属歯科衛生専門学校生の終末期歯科医療および生死に関する意識調査 講義終了後の変化,老年歯学,34,236‐237,2019(抄)
2遠藤眞美,野本たかと:某歯科大学歯学部4年生の生や死に対する知識および意識調査,老年歯学,33,194,2018(抄)
3遠藤眞美,菅 亜里沙,他:某歯科大学1年生における 生や死に関する意識調査、ヘルスサイエンス・ヘルスケア,14巻,79-87,2014
終末期患者に対して歯科医療職の食事支援や口腔ケアなどを通した関わりがQOL(Quality of Life)やQOD(Quality of Death)に重要とされている。しかし,死生学に関連する系統的な歯学教育は少ない。したがって,終末期患者および家族に適切に関われる歯科医療職の育成に向けた教育が必要であり,学生の死生観などを調査して効果的な教育内容を検討してきた1-3)。低学年への教育が効果的と考え,5年前に歯学部1年生に調査を行った1)。しかし,当時と高齢者に関する社会倫理は変化している。そこで,歯学部1年生に対して再度,調査を行ったので報告する。
【方法】
対象は,日本大学松戸歯学部歯学部1年生115人(男性73人,女性42人:平均19.6歳)とした。方法は,独自で作成した無記名自記式の質問票を配布し,回収する方法とした。項目は,身近な人との死別経験の有無,生や死に対する意識や知識に関する項目とした。本研究は日本大学松戸歯学部倫理審査委員会の承認後に行った(EC16-008) 。
【結果と考察】
知識は最も知っている割合が少なかったのが「グリーフワーク」20%,次いで「胃瘻」35%,その他に「終末期」61%,「献体」60%とメディアなどで使用している言葉であっても常識ではないとわかった。身近な人との死別経験者は77%で,そのうち16%は死別経験が歯学部選択に影響したと回答した。死別経験の有無による意識は全項目で統計学的有意差を認めなかった。胃瘻造設に関する意見を求められ場合“関わりたくない”が死別経験ありで14.6%,死別経験なしで23.0%であった。今後は,各人の経験によって得た死生観を尊重した上で,歯科医療職としてのプロフェッショナリズムを意識しながら生や死に関する教育を導入し,終末期患者やその家族と向き合える人材の育成が求められると示唆された。
【文献】
1遠藤眞美,野本たかと:某歯科大学附属歯科衛生専門学校生の終末期歯科医療および生死に関する意識調査 講義終了後の変化,老年歯学,34,236‐237,2019(抄)
2遠藤眞美,野本たかと:某歯科大学歯学部4年生の生や死に対する知識および意識調査,老年歯学,33,194,2018(抄)
3遠藤眞美,菅 亜里沙,他:某歯科大学1年生における 生や死に関する意識調査、ヘルスサイエンス・ヘルスケア,14巻,79-87,2014