The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

ライブ

認定医審査ポスターG6

Sun. Nov 8, 2020 11:40 AM - 2:00 PM B会場

[認定P-33] 多職種連携により経口摂取を継続することができたレビー小体型認知症患者の一症例

○佐藤 友紀美1 (1. 鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座)

【目的】

 レビー小体型認知症は咽頭期障害を呈しやすく誤嚥に注意が必要である。特に誤嚥性肺炎の既往がある場合,再発を予防し経口摂取を継続することは適切な評価・対応が必須である。今回,在宅療養中のレビー小体型認知症患者に対し家族を含めた多職種で連携することで亡くなるまで経口摂取を継続することができた1例を経験したので報告する。

【症例の概要と処置】

 81歳男性,レビー小体型認知症により全介助で意思疎通は困難な状態であった。H29年4月,誤嚥性肺炎で入院後,ペースト食での経口摂取は可能として自宅退院となった。同年6月,食後に咳がでるとのことで主治医より訪問での摂食嚥下機能評価を依頼され,VEを実施した。唾液誤嚥を認めたため(藤島Gr.5程度),家族に食事介助指導を行い,主治医・訪問看護師と情報共有を行った。訪問看護師には体調管理に加え,家族への吸引指導を依頼した。また,誤嚥性肺炎予防の観点から口腔衛生管理は必須と考え,地域の歯科医院に歯科訪問診療を依頼した。その後著変なく経過していたが,H30年10月,咳の憎悪を認めVEによる再評価を実施した。嚥下機能の低下は認めなかったが,検査中に食道からの逆流を認め誤嚥を呈した。主治医へ対診し,逆流性食道炎の診断の下,胃酸分泌抑制薬が服薬開始となり咳の頻度は減少した。この結果,経口摂取に対して積極的なアプローチが可能となり,咀嚼機能の改善を目的とした義歯製作を介入中の歯科に依頼した。義歯装着後の食形態は一口大程度まで摂取が可能となった。H31年4月,再び咳が憎悪したため,消化器科での精密検査を依頼し,食道裂孔ヘルニアと診断された。家族の希望により治療は服薬のみとし食事量の調整で対応することとなった。その後は,誤嚥性肺炎を発症することなく安定した療養生活を送っていた。R1年9月,家族の都合で在宅介護が困難となり入院下での療養となった。経口摂取は続けていたが逆流による誤嚥性肺炎のためR1年12月に亡くなった。

【結果と考察】

 逆流による誤嚥を呈していたにも関わらず,誤嚥性肺炎を再発することなく患者と家族の希望に沿う形で経口摂取を継続できたことは,家族の介護とそれを支える多職種の関わりによるものと考える。特に,医科との連携により咳の原因を特定できたことは適切な対応に繋がった一助と考える。(COI開示:なし)