[認定P-34] 食思不振を呈するアルツハイマー型認知症患者に対し、多職種で介入し栄養状態が改善した症例
【緒言】
回復期リハビリテーションを実施する上で栄養管理の実施は機能回復の予後に影響を与えるため重要である。中でもアルツハイマー型認知症患者は食思不振等による低栄養のリスクが高く,リハビリテーションを実施する上で積極的に栄養管理を実施する必要がある。今回われわれは,食思不振を呈したアルツハイマー型認知症患者に対して多職種にて介入し,栄養状態が改善した一例を報告する。
【症例】
85歳,女性。既往にアルツハイマー型認知症がある。左大腿骨頸部骨折の手術,リハビリのため当院に入院となった。入院中、口腔内常在菌由来の感染予防を目的として当科による口腔管理にて介入となった。入院時のFIM認知項目14点であった。上下総義歯を所持しているものの着脱に拒否があった。義歯は古く,人工歯の咬耗,脱離等により咀嚼困難であった。BMIは17.2であり低栄養を認めた。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【経過】
初回の食事評価では,全粥,きざみあんかけ食の口腔内への溜め込みが見られた。6病日の摂取量は528kcalであり,低栄養のリスクが高い状態であった。栄養科にて栄養管理を開始し,栄養補助食品にて必要栄養を補う方針となった。9病日に現義歯の調整を実施したところ,拒否なく使用可能であった。13病日に適切な食形態確認のためVFを実施し,咽頭期に問題は見られなかったが,咀嚼が必要な形態の固形物で準備期と口腔期の延長が見られた。また,現義歯は装着から年数が経過しており,調整のみでは破損のリスクが高いことから新義歯の作製を実施した。装着に拒否が出ないよう,現義歯の形態を参考に作製し42病日に新義歯を装着した。49病日に食形態を軟飯,一口大に変更し,退院時の摂取カロリーは経口951kcal,栄養補助食品525kcalの合計1476kcalまで改善した。またBMI18.4となり栄養状態の改善がした。家族への栄養指導を実施し,自宅退院となった。
【考察】
本症例では,食思不振を呈するアルツハイマー型認知症患者に対し多職種にて介入したことで栄養状態を改善することができた。アルツハイマー型認知症患者の食思不振の背景には食事環境や嗜好,口腔内状況など様々な要因があり,多職種による栄養改善アプローチが重要であると考えられた。
回復期リハビリテーションを実施する上で栄養管理の実施は機能回復の予後に影響を与えるため重要である。中でもアルツハイマー型認知症患者は食思不振等による低栄養のリスクが高く,リハビリテーションを実施する上で積極的に栄養管理を実施する必要がある。今回われわれは,食思不振を呈したアルツハイマー型認知症患者に対して多職種にて介入し,栄養状態が改善した一例を報告する。
【症例】
85歳,女性。既往にアルツハイマー型認知症がある。左大腿骨頸部骨折の手術,リハビリのため当院に入院となった。入院中、口腔内常在菌由来の感染予防を目的として当科による口腔管理にて介入となった。入院時のFIM認知項目14点であった。上下総義歯を所持しているものの着脱に拒否があった。義歯は古く,人工歯の咬耗,脱離等により咀嚼困難であった。BMIは17.2であり低栄養を認めた。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【経過】
初回の食事評価では,全粥,きざみあんかけ食の口腔内への溜め込みが見られた。6病日の摂取量は528kcalであり,低栄養のリスクが高い状態であった。栄養科にて栄養管理を開始し,栄養補助食品にて必要栄養を補う方針となった。9病日に現義歯の調整を実施したところ,拒否なく使用可能であった。13病日に適切な食形態確認のためVFを実施し,咽頭期に問題は見られなかったが,咀嚼が必要な形態の固形物で準備期と口腔期の延長が見られた。また,現義歯は装着から年数が経過しており,調整のみでは破損のリスクが高いことから新義歯の作製を実施した。装着に拒否が出ないよう,現義歯の形態を参考に作製し42病日に新義歯を装着した。49病日に食形態を軟飯,一口大に変更し,退院時の摂取カロリーは経口951kcal,栄養補助食品525kcalの合計1476kcalまで改善した。またBMI18.4となり栄養状態の改善がした。家族への栄養指導を実施し,自宅退院となった。
【考察】
本症例では,食思不振を呈するアルツハイマー型認知症患者に対し多職種にて介入したことで栄養状態を改善することができた。アルツハイマー型認知症患者の食思不振の背景には食事環境や嗜好,口腔内状況など様々な要因があり,多職種による栄養改善アプローチが重要であると考えられた。