The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演・誌上開催)

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介護・介護予防

[O一般-001] 後期高齢者健診質問票の口腔機能項目と栄養指標の関連

○本川 佳子1、小原 由紀1、白部 麻樹1、枝広 あや子1、釘宮 嘉浩1,2、大渕 修一1、渡邊 裕1,3、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所、2. 東京歯科大学、3. 北海道大学)

【目的】
令和2年度より介護予防等を目的とした後期高齢者健康診査(以下フレイル健診)が開始されることとなり、15項目の質問票が作成され、口腔機能は咀嚼機能、嚥下機能の2項目となっている。今後、通いの場や診療所等での活用が期待されるが、質問票の口腔機能へ該当することが食事摂取等に及ぼす影響については明らかではない。そこで本研究は、フレイル健診質問票の口腔機能項目と栄養指標との関連について明らかにすることを目的とした。
【方法】
東京都I区に在住する地域在住高齢者で包括的健診を受診し、回答の得られた512名を分析対象とした。口腔機能に関する項目は、フレイル健診質問票の口腔機能2項目の聞き取り、現在歯数、機能歯数の測定を行った。栄養関連指標は半定量食物摂取頻度調査票により栄養素等摂取量・食品群別摂取量を算出し、残差法によるエネルギー調整を行った。また生体インピーダンス法による身体組成(FFMI、BMI等)、血液生化学検査(Alb、Hb等)の測定を行った。その他、性・年齢・既往歴等の聞き取りを行った。 尚、本研究は、東京都健康長寿医療センター研究所研究部門倫理委員会(23-1253)の承認を得て実施した。
【結果および考察】
口腔機能の該当は、該当なしが65.9%、1つ該当が28.4%、2つ該当が5.7%であった。2つの該当割合が少なかったことから該当なし群、1つ以上該当の該当あり群の2群で比較した。栄養素等摂取量ではたんぱく質エネルギー比、食品群別摂取量では緑黄色野菜、肉類が該当あり群で有意に低値を示した(p<.05)。さらに性、年齢、既往歴、BMI、現在歯数で調整したロジスティック回帰分析の結果、口腔機能の該当有無と独立して有意な関連を示したのはたんぱく質エネルギー比であった(0.877, 95%CI: 0.801-0.960, P=0.004)。日本人の食事摂取基準2020年版の平均たんぱく質エネルギー比の下限は15%であるが、口腔機能の該当あり群は14%と低かった。
フレイル健診質問票の口腔機能項目に該当する者は、摂取エネルギーに占めるたんぱく質摂取割合が低く、目標摂取量に達していない可能性があり、口腔・栄養の複合介入の必要性があると考えられる。