The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演・誌上開催)

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介護・介護予防

[O一般-003] 基本チェックリストの口腔機能3項目と口腔機能との関連

○竹内 倫子1、澤田 ななみ1、鷲尾 憲文2、澤田 弘一3、江國 大輔4、森田 学4 (1. 岡山大学病院予防歯科、2. 鏡野町国民健康保険富歯科診療所、3. 鏡野町国民健康保険上齋原歯科診療所、4. 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野)

【目的】
 基本チェックリストは介護予防・日常生活支援総合事業の対象者を把握するために全国の市町村で使用されており、口腔機能関連項目は3項目含まれている。本研究の目的は基本チェックリストの口腔機能3項目と口腔機能との関連を調査することであった。
【方法】
 対象は,岡山県北部在宅で本研究に同意を得られた60歳以上の高齢者72人(男性23人、女性49人,平均年齢74.5±10.3歳)とした。歯科医師3名が口腔内診査と口腔機能診査を行った。口腔内診査では現在歯数を診査した。自己記入式質問調査票には基本チェックリストを使用した。基本チェックリストの口腔機能関連3項目「半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか」「お茶や汁物等でむせることがありますか」「口の渇きが気になりますか」の各項目に対して、「いいえ」と回答した者を自覚症状なし群、「はい」と回答した者を自覚症状あり群とした。また、3項目中2項目以上当てはまる者を口腔機能低下群とした。舌圧、オーラルディアドコキネシス(ODK)、咀嚼能力、現在歯数について2群比較を行った。検定はMann-Whitney U検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 「半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか」「お茶や汁物等でむせることがありますか」「口の渇きが気になりますか」の自覚症状あり群はそれぞれ15人(15.3%)、19人(20.0%)、23人(24.2%)であり、口腔機能低下群は14人(14.7%)であった。2群間で有意差がみられたのは「半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか」の項目ではODK/pa/,/ta/,/ka/、咀嚼能力であり、「口の渇きが気になりますか」の項目では咀嚼能力、口腔機能低下有無ではODK/pa/,/ta/,/ka/、咀嚼能力であった。固いものが食べにくいという自覚症状は舌の巧緻性に反映されたと考えられ、また咀嚼能力の客観的指標と関連がみられた。ODKは、診査方法が簡便なため誤差が出にくく、比較的軽度の機能低下でも検出しやすいからではないかと考えられる。また、咀嚼能力は口腔乾燥感に影響されることが示唆された。結論として、基本チェックリストの口腔機能関連項目で口腔機能低下とされるものはODK、咀嚼能力と関連がみられた。
(COI開示:なし)
(岡山大学倫理審査委員会承認番号 研1708-028)