一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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介護・介護予防

[O一般-004] 歯科診療におけるMCI評価の臨床的意義の検討を行った2症例

○杉田 武士1、小倉 慶子2、久保田 守1 (1. 医療法人久保田歯科医院、2. 小倉歯科医院)

【目的】歯科診療では患者の協力が必要なこともあり、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)ではないかと思うような場面に遭遇することがある。治療内容を理解していないのでは?ご家族に相談したほうが良いのでは?など思うことはあっても、歯科診療時の認知症の判断基準はなく苦慮することがある。今回、認知症の症状と長谷川式認知症スケールをもとにご家族への伝達をスムーズに行い、適切なインフォームドコンセントを行うためのチェックシートの作成するための検討をおこなったので報告する。
【方法】認知症には中核症状と行動・心理症状(BPSD/周辺症状)があるが、常に症状として現れる中核症状と長谷川式認知症スケール項目(見当識、理解力、短期記憶、作動記憶、記憶保持、言語流暢性)を実際の2症例をもとに、どのような歯科診療時の症状・行動が定量化することが可能かどうか、臨床的意義を含め検討を行った。
【結果】認知症を疑うような行動の中で3つの項目に合致するものを抽出した。①中核症状であること、②長谷川式認知症スケール項目に共通すること、③日常の歯科診療での行動であること。これらの項目を踏まえ、客観的でかつすべて歯科医療従事者が容易に判断するためのチェックシートを作成した。
【考察】今回のチェックシートは認知症の診断ではなく、ご家族へのスムーズな伝達と適切なインフォームドコンセントを得るための客観的かつ補助的なルーツとして活用できると考えられる。また、今後も様々な患者の症状・行動を検討し、多職種連携を含め患者への適切な医療を受ける環境を整備することが重要であると考えられる。
【結論】MICを疑わせる患者への歯科医療環境の整備・検討を行い適切な歯科治療の提供と患者へのQOLの維持・向上に寄与するための活動を行うことが重要である。