The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-007] 若年者と高齢者の口腔機能の比較

○日高 玲奈1、紅谷 朱音1、松原 ちあき2、尾花 三千代2、徳永 淳二1,3、古屋 純一1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科地域・福祉口腔機能管理学分野、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、3. 逗子メディスタイルクリニック)

【目的】
 加齢が口腔機能におよぼす影響を評価するために、若年者と高齢者の口腔機能を評価した。
【方法】
 2019年4月から12月にかけて調査を実施した。若年者群として、東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科口腔保健衛生学専攻に所属する20歳以上の学部生及び卒業生38名を対象とした。高齢者群として、某高齢者会館利用者73名を対象とした。調査項目は、歯科に関連した質問票調査と口腔機能評価(口唇・舌の巧緻性(オーラルディアドコキネシスpa, ta:ODKpa, ODKta)、咀嚼能力評価(咀嚼能力判定グミ、UHA味覚糖)、舌圧、口唇圧)、口腔内観察(機能歯数、Oral Health Assessment Tool(OHAT)等)、握力である。2群間の比較をMann Whitney U検定とχ2検定を用いて行った。また口腔機能評価の各項目を従属変数とし、それ以外の項目を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 若年者群と高齢者群で比較した結果、機能歯数、OHAT総合点、ODKpa、ODKta、咀嚼能力、舌圧、「かかりつけ歯科医院があり」、「口の体操の指導を受けたことがある」、「歯科受診の必要性あり」の項目で有意差がみられた。重回帰分析の結果、ODKpaに影響を与える因子として、年代と歯磨き指導経験が有意な因子として抽出された。同様にODKtaでは年代と「かかりつけ歯科医院があり」と握力、咀嚼能力では「歯科受診の必要性あり」と握力、舌圧は年代と握力、口唇圧は「口の体操の指導を受けたことがある」がそれぞれ有意な因子として抽出された。
 口腔機能の評価項目の半数以上で、年代が有意な因子として抽出された。若年者群に比べ、高齢者群の方が口腔機能が低下することが明らかとなった。「かかりつけ歯科医院があり」や「歯磨き指導経験あり」、「口の体操の指導を受けたことがある」等の歯科受診の機会が多い者ほど口腔機能が保たれていることも明らかとなった。今回の結果から、口腔機能に影響を与える因子として年代が最も大きな影響与えるものもあれば、他の要因と同程度の影響のものもあった。口腔機能の維持を支援するためには、全身の骨格筋の筋力や口腔衛生状態など包括的に評価しなければならないと考えられる。
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認番号 D2017-022)
(COI開示:なし)