一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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一般演題(ポスター)

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全身管理・全身疾患

[P一般-100] 認知症高齢者のモニター下歯科治療において頻脈性不整脈を認めた1例

○堀本 進1、間宮 秀樹1、平野 昌保1、小野 洋一1、菊地 幸信1、高橋 恭彦1、平山 勝徳1、野村 勝則1、片山 正昭1 (1. 公益社団法人 藤沢市歯科医師会)

目的

 高齢化に伴い有病率は上昇し,高齢者の有病率は40%とも言われる。藤沢市南部歯科診療所要介護高齢者歯科診療においては、全身管理を行う一環で継続的なモニター下診療を行っている。今回われわれは意思疎通困難な認知症高齢者の診療に際し、モニター下に不整脈を認め診療を中断した1例を経験したので報告する。

症例の概要と処置

 78歳,女性。脳出血2回及び水頭症に対するシャント術、アルツハイマー病の既往あり。下顎前歯の破折と摂食不良を訴え当会に依頼があり、H30年8月19日初診。車イスにて入室し、全介助にて歯科ユニットに移乗。指示はいらず意思疎通は困難で、独語を続けているのみであった。循環器・呼吸器等特に異常なく、当診療所に家族により搬送され、抑制下に治療を続けていた。36回目の通院となるR1年12月12日、モニター開始時より心拍数150を超える頻脈を認め、経過を見たところ改善なく診療を中断した。心電図上筋電図も混入し、診療1週間前に主治医により緊張に対し筋弛緩薬の投与も行っていたことから緊張によるものと思われたが、進行した認知症により臨床症状の把握が困難なため、診療当日は再度主治医への受診を勧めた。主治医による精査にて循環器等に異常なく経過観察となり、次の当診療所受診の際はそれまでの状態に戻った。

結果と考察

 高齢者の体調は、歯科診療上大きな影響を与えうる。しかし意思疎通困難な認知症患者においては、突然の変化に対して臨床所見のみでは判断が困難であり、モニター下での処置は大変有効であると再認識した。



開示すべきCOIはありません。

公益社団法人 藤沢市歯科医師会倫理審査委員会承認番号 2019-011