The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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症例・施設

[P一般-105] レボフロキサシンによる固定薬疹が疑われた口腔粘膜疾患の1例

○坂本 隼一1,2、原 哲也3、皆木 省吾3 (1. 笠岡第一病院、2. 岡山大学病院 咬合・義歯補綴科、3. 岡山大学 医歯薬学総合研究科 咬合・有床義歯補綴学分野)

【目的】
 固定薬疹とは,特定の薬剤が原因となり原因が加わるごとに同一部位に発疹が生じる病態のことである。今回,レボフロキサシン(以下,LVFX)による固定薬疹が疑われた口腔粘膜疾患の1例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
 患者は要介護4で当院付属老人介護保険施設に入所中の89歳女性。2018年X月Y日に悪寒,倦怠感の訴えと発熱(BT:38.8℃)を認めた。尿路感染症と診断され,LVFXとしてクラビット500mg/日が処方された。Y+2日, 朝食前に口腔内の痛みの訴えがあり施設職員が確認したところ口腔粘膜に水泡とびらんを認めたため, 翌日(第1病日)に歯科を受診した。身体所見は36.8℃と解熱傾向にあり,体幹,四肢などに特異的な所見は認めなかった。口腔内は上下無歯顎で,下顎口腔前庭,舌背,口腔底に疼痛を伴う広範なびらんを認めた。これら臨床所見より自己免疫疾患,ウィルス感染症が疑われた。また,当院診療録を縦覧したところ,2012年,2014年,2015年に内科よりLVFX処方歴があり,2015 年内科受診5日後に口内炎を主訴に内科再診の既往があった。LVFXによる固定薬疹の可能性も考えられたため,皮膚科への対診を行い,連携を図りながら治療を開始した。LVFX内服の中止を指示し,対症療法としてステロイド外用剤を用いて治療を行ったところ,第5病日から口腔内びらんは縮小傾向となり,第8病日には寛解した。なお,真菌検査,Tzanck test,血清抗体検査(抗Dsg1抗体,抗Dsg3抗体,抗BP180抗体)はいずれも陰性であった。
【結果と考察】
 LVFXによる固定薬疹の報告では,体幹や上下肢に生じたものが多く,口腔内に限局して発症した報告は少ない。本症例は,過去の診療録から固定薬疹を疑う既往があったこと,ウィルス感染などの除外診断からLVFXによる固定薬疹が強く疑われた。2015年のLVFX内服時に感作したと考える。患者が高齢な施設入所者であること,十分な従命が困難なことから薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)や誘発試験,生検は行わなかった。LVFXによる固定薬疹(疑い)と電子カルテに記載し,施設職員への情報の共有を行うことで今後LVFXが処方されないように対策を行った。