[P一般-115] デノスマブ投与患者における顎骨壊死の発症および治療を行った症例
【目的】
高齢者の骨転移に対する骨修飾薬の使用が増加する昨今,薬剤関連性顎骨壊死が問題となっている。今回,デノスマブ投与患者に対して顎骨壊死の発症,および治療を行った1例について報告する。
【症例および処置】
81歳男性。前立腺癌の既往により2016年11月よりデノスマブの継続投与を受けている。本学医学部附属病院,泌尿器科より対診をとり,デノスマブ継続下で2018年3月に右上5,同年4月に右下5,左下4の抜歯を行った。抜歯後の補綴装置は下顎全部床義歯,上顎臼歯部欠損の両側遊離端の部分床義歯となった。
2019年2月に上顎前歯部ブリッジのマージン下にう蝕を認めたため,再補綴とする計画とし,暫間被覆冠に置き換え,義歯の調整を行った。その後右上6,左下4,5相当に義歯不適合による潰瘍を認めたため,調整を続けていたが同年7月に上記部位に排膿を伴う歯肉の腫脹を認めた。
パノラマX線およびCTより顎骨に壊死等の透過像所見を認めなかったため,隔週でザルコニン綿球による洗浄,ネオステグリーンによる含嗽を指示し,膿汁による細菌検査にてペニシリンでの抑制効果を認めたためアモキシシリン250mg分2,7日の処方を行った。
【結果と考察】
現在,義歯の調整を行うとともに,残存歯のプラークコントロール改善を目指し,口腔ケアを続けている。排膿等の症状が歯肉に留まり,顎骨まで波及していないため,口腔内の環境に注視し,経過を見ていく予定である。
本症例では,抜歯後の義歯不適合により顎骨壊死を惹起したと考えられる。薬剤関連性顎骨壊死における抜歯症例では抜歯窩の上皮化を待って治癒とするのが一般的だが,その後義歯による機械的刺激により炎症刺激が薬剤関連性の顎骨壊死を惹起したと考えられる。デノスマブ等,骨修飾薬の使用は今後増加が予想される。歯科として薬剤関連性顎骨壊死を防ぐには,プラークコントロールや口腔内環境の重要性を患者に理解させること,口腔内の変化に注視し不適合な修復物や義歯の改善を行うことが重要と考える。
(COI開示:なし)
高齢者の骨転移に対する骨修飾薬の使用が増加する昨今,薬剤関連性顎骨壊死が問題となっている。今回,デノスマブ投与患者に対して顎骨壊死の発症,および治療を行った1例について報告する。
【症例および処置】
81歳男性。前立腺癌の既往により2016年11月よりデノスマブの継続投与を受けている。本学医学部附属病院,泌尿器科より対診をとり,デノスマブ継続下で2018年3月に右上5,同年4月に右下5,左下4の抜歯を行った。抜歯後の補綴装置は下顎全部床義歯,上顎臼歯部欠損の両側遊離端の部分床義歯となった。
2019年2月に上顎前歯部ブリッジのマージン下にう蝕を認めたため,再補綴とする計画とし,暫間被覆冠に置き換え,義歯の調整を行った。その後右上6,左下4,5相当に義歯不適合による潰瘍を認めたため,調整を続けていたが同年7月に上記部位に排膿を伴う歯肉の腫脹を認めた。
パノラマX線およびCTより顎骨に壊死等の透過像所見を認めなかったため,隔週でザルコニン綿球による洗浄,ネオステグリーンによる含嗽を指示し,膿汁による細菌検査にてペニシリンでの抑制効果を認めたためアモキシシリン250mg分2,7日の処方を行った。
【結果と考察】
現在,義歯の調整を行うとともに,残存歯のプラークコントロール改善を目指し,口腔ケアを続けている。排膿等の症状が歯肉に留まり,顎骨まで波及していないため,口腔内の環境に注視し,経過を見ていく予定である。
本症例では,抜歯後の義歯不適合により顎骨壊死を惹起したと考えられる。薬剤関連性顎骨壊死における抜歯症例では抜歯窩の上皮化を待って治癒とするのが一般的だが,その後義歯による機械的刺激により炎症刺激が薬剤関連性の顎骨壊死を惹起したと考えられる。デノスマブ等,骨修飾薬の使用は今後増加が予想される。歯科として薬剤関連性顎骨壊死を防ぐには,プラークコントロールや口腔内環境の重要性を患者に理解させること,口腔内の変化に注視し不適合な修復物や義歯の改善を行うことが重要と考える。
(COI開示:なし)