The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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口腔機能

[P一般-013] カムカム弁当運動複合プログラムの口腔機能低下症への効果-カムカム弁当複合プログラム(2)-

○関本 愉1、松尾 浩一郎1、鬼頭 紀恵1、澤崎 巧1、小川 康一2、泉 綾子2、貴島 真佐子3、糸田 昌隆4、増田 裕次5 (1. 藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科学講座、2. 株式会社フードケア 開発部、3. わかくさ竜間リハビリテーション病院 歯科、4. 大阪歯科大学 医療保健学部 口腔保健学科、5. 松本歯科大学 総合歯科医学研究所)

【目的】高齢者は,咀嚼機能や他の口腔機能,筋力の低下から,無意識に,硬い肉や魚,野菜の摂取を避けることで,栄養障害に陥りやすいと報告されている。そこで,われわれは,咀嚼と栄養をコンセプトに,咀嚼を促す噛みごたえのある食材を入れたカムカム弁当を開発した。本研究では,このカムカム弁当を導入した複合プログラムによって,口腔機能と全身機能が改善するか検証した。

【方法】大阪府大東市の地域在住高齢者86名を地域毎に対照群と介入群に無作為に割り付けた。口腔機能低下症(Oral hypofunction,OHF)の診断項目である7項目を測定し,3項目以上該当した場合に口腔機能低下症と定義した。また,体組成と運動機能についても測定した。対照群では,週2回の体操を近くのコミュニティセンターで行った。介入群は,週2回の体操後,全員でカムカム弁当を摂取した。加えて,自宅で週3回の口腔トレーニングを行った。介入期間は12週間とした。対象者をOHF群と健常口腔機能群(Normal Oral function, NOF)の2群に分け,それぞれの群で,介入前後での口腔機能と運動機能の変化,およびOHF該当者の割合を統計学的に比較検討した。

【結果と考察】口腔機能低下症の該当者は,初回評価時で,対照群で28名(65%),介入群で24名(56%)であった。項目別では,対照群,介入群ともに初回と最終評価との間で,有意な改善を示した項目はなかった。介入後のOHF該当者は,対照群では25名(58%)であったが,介入群では11名(26%)まで有意に低下していた。また,体組成と運動機能について,初回評価時には,OHF群で有意な低下を示している項目が多くあったが,プログラムの介入後には,OHF群で,体脂肪率が低下し,筋肉量指標が増加し,運動機能が向上していた。

本結果より,口腔機能低下症を有する地域在住高齢者に対して,今回導入したカムカム弁当運動複合プログラムによる介入によって,口腔機能低下症の改善ならびに全身機能の改善が考えられた。地域における口腔機能低下症およびフレイルの予防策として,口腔,栄養,咀嚼機能を考慮した本プログラムの応用が期待できることが示唆された。



(COI:開示すべきCOIなし)

(藤田医科大学倫理審査委員会承認番号:HM17-182)