The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-018] 介護保険施設女性入所者における脳血管疾患既往歴と口腔内指標との関係

○山口 摂崇1、山中 大寛1、村松 真澄2、越智 守生1 (1. 北海道医療大学、2. 札幌市立大学)

【目的】  介護保険施設に新規入所する者の咀嚼・嚥下機能は36%が正常で,48%が軽度低下と報告されているが,入所期間の経過に伴い,咀嚼・嚥下機能が低下することが知られている。一方で,入所者は施設職員等による口腔ケアが実施される。本研究では口腔ケアの自立度を加味した脳血管疾患既往歴と口腔内指標との関連性を検討した。 【方法】  北海道内の介護福祉施設のうち本研究への参加協力を得られた9施設で実施した(調査期間:平成30年7月~平成30年12月)。対象者選定基準は要介護3以上の女性入居者,除外基準を重度認知症とした。対象者を脳血管疾患の既往歴の有無で群分けした。調査項目は対象者基本情報(年齢,内服薬数,要介護度,口腔ケア自立度)と口腔内指標(歯数,う蝕歯数,菌数,オーラルディアドコキネシス(ODK),Oral Assessment Guide(OAG))とした。OAGによるスクリーニングは8項目すべて問題が無いものを「正常」,それ以外を「機能異常」としてカテゴライズした。統計解析は連続変数をMann-Whitney U test,カテゴリーデータをFisher’s Exactly testを用いて分析した。 【結果と考察】  本研究の対象者は177名であった。脳血管疾患の既往歴がある群は95名(平均年齢88.1±6.3歳)であり,脳血管疾患の既往歴がない群は82名(平均年齢87.8±6.1歳)であった。脳血管疾患の既往歴がある群では口腔ケアの自立度が有意に低く, ODK(パ音)が有意に少なく,OAGによるスクリーニング結果で「正常」の割合が有意に多かった(p < 0.05)。OAGによるスクリーニング結果を口腔ケアの自立度で層別化すると、「自立」の場合のみ脳血管疾患の既往歴がある群でOAGによるスクリーニング結果で「正常」の割合が有意に多かった(p < 0.05)。これらの結果から脳血管疾患の既往歴がある女性入所者は口腔ケアの介入量が多いため,OAGによるスクリーニング結果が良い傾向にあったことが推察される。一方で,ODK(パ音)が有意に少ないことから機能的口腔ケアが十分でない可能性も示唆された。また性,年齢,要介護度,内服薬数以外の潜在的交絡因子の影響も考慮すべきであるため,潜在的交絡因子の調整と前向きコホート研究が必要である。
 (北海道医療大学 倫理審査委員会承認番号 第178号).