The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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口腔機能

[P一般-019] イソデシルガラクトシド配合泡沫状製剤の高齢者における有効性の評価

○岩脇 有軌1、後藤 崇晴1、岸本 卓大1、松田 岳2、藤本 けい子1、永尾 寛1、吉村 賢治3、江下 義之3、矢納 義高3、市川 哲雄1 (1. 徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野、2. 徳島大学病院総合歯科診療部、3. 花王株式会社パーソナルヘルスケア研1室)

【目的】
 超高齢社会に突入した日本では,健康寿命の延伸が豊かな長寿社会の達成のために重要となっている。高齢者の全身の健康に,誤嚥性肺炎,義歯性口内炎など微生物感染症の予防の観点から,口腔ケアによる口腔衛生状態が影響を及ぼすことが知られており,その重要性が注目されている。一方で,微生物の凝集抑制効果を持つイソデシルガラクトシド(ID-Gal)が含有された泡沫状歯磨剤が製品化されており,若年健常者ではその効果が検証されてきた。そこで本研究では,ID-Gal含有製剤の高齢者に対する効果の検証を目的として,口腔衛生状態への有効性の評価を行った。
【方法】
 本研究における被験者は徳島大学病院において定期検診を受けている65歳以上の患者56名とした。本研究は徳島大学病院医学系研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:2975)。まず,スクリーニング検査を行い,年齢,義歯装着の有無,口腔内細菌数,口腔内検査の結果によって層別ランダム化し,被験群と対照群に割り付けた。被験群には,被験製剤を使用させ,泡を全体に行き渡らせてから普段通りブラッシングを行わせた。対照群には,普段使用している歯磨剤をそのまま使用させた。製剤使用開始前,1ヶ月後,2ヶ月後における使用感に関するアンケート,口腔内細菌数(舌背,咽頭,義歯床下粘膜),舌苔付着(以下WTCI),口腔粘膜湿潤度,PD, BOP, PIなどの歯・歯周検査を行った。本研究は企業との共同研究であり、両者および他企業との開示すべきCOI関係はない。
【結果と考察】
 歯・歯周検査の結果は本製剤の使用により影響を受けなかったが,口腔内細菌数は減少傾向にあり,製剤使用1ヶ月において舌背での黒色色素産生菌数、Fusobacterium nucleatum数および義歯床下粘膜での総細菌数が有意に減少した。本製剤の成分であるID-Galは微生物の抗凝集作用があり,細菌数の減少に働いたと考えられる。また,製剤使用2ヶ月においてWTCIが有意に低下した。本製剤は通常の歯磨剤とは異なり泡を舌背に乗せ使用させるため、舌上の細菌数およびWTCIに対して有意な影響が生じたと考えられる。以上の結果より,ID-Gal含有製剤の口腔衛生状態,とくに舌に対する有効性が示唆された。