The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-028] 地域在住自立高齢者の口腔機能低下症と口腔関連QOLとの関連性からの検討

○福田 昌代1、泉野 裕美2、堀 一浩3、澤田 美佐緒1、畑山 千賀子2、氏橋 貴子1、重信 直人4、小野 高裕3 (1. 神戸常盤大学短期大学部 口腔保健学科、2. 梅花女子大学 看護保健学部 口腔保健学科、3. 新潟大学大学院医歯学総合研究科 包括歯科補綴学分野、4. YMCA総合研究所)

【目的】

 口腔機能の低下は,低栄養を引き起こし,体力の低下さらには心理的,社会的にも影響を及ぼす可能性がある.これらは要介護状態にもつながり,高齢者のQOLの低下をきたす.そのため,口腔機能低下をできるだけ早期に発見し,対応することが望まれる.今回,地域在住高齢者の口腔機能低下症と口腔関連QOLの関連性を検討したので報告する.

【方法】

対象者は高齢者教室に参加した65歳以上の地域在住自立高齢者69名(男性26名,女性43名,平均年齢75.5±5.3歳)とした.調査内容は,口腔関連QOLの指標としてGeneral Oral Health Assessment Index(GOHAI)を用い,口腔機能低下症7項目を測定した.また,世帯人数ならびに食事に関する満足度について質問紙調査を行った.分析は,対象者をGOHAI第1四分位で低位群と高位群の2群に分け,年齢,性別,BMI,世帯人数,食事に関する満足度,義歯使用有無,口腔機能低下症有無の比較ならびに口腔機能低下症各項目との比較とした.検定は,前者はχ二乗検定,後者はMann-Whitney U検定を用いた.

【結果と考察】

口腔機能低下症の診断基準を満たす者は69名中48名(69.6%)であった.2群間の比較では,GOHAI低位群は後期高齢者に多く,世帯人数が少ない,義歯使用そして口腔機能低下症である者が有意に多かった(p<0.05).さらに,GOHAI2群と口腔機能低下症7項目との比較では,GOHAI低位群は,咀嚼機能、咬合力、嚥下機能が低いことが示された(p<0.05).GOHAIは12項目5件法による質問紙調査のため比較的簡単に実施することができることから,口腔機能低下症罹患をスクリーニングする上でも有用であると考えられた.また,年齢や世帯人数とも関連していることから,高齢者はできるだけ家に引きこもらず,社会や地域に出ることがQOLの維持・向上につながる可能性が示された.今後ますます高齢社会が進行するため,QOLに関する調査を継続し,QOLを下げる要因となる口腔機能低下の早期発見の指標,さらには健康関連QOLと口腔機能との関連についての検討を進めていきたい.

(COI開示:なし)(梅花女子大学倫理審査委員会 承認番号0010-0091)