The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-033] 口腔機能低下と低栄養の重複がフレイルに及ぼす影響:2年間の縦断調査による検討

○目黒 郁美1、五十嵐 憲太郎2、小原 由紀3、白部 麻樹3、本川 佳子3、枝広 あや子3、伊藤 誠康2、大渕 修一3、渡邊 裕3,4、平野 浩彦3、河相 安彦2 (1. 日本大学大学院松戸歯学研究科歯学専攻博士課程 有床義歯補綴学、2. 日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学講座、3. 東京都健康長寿医療センター研究所、4. 北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)

【目的】

 身体的フレイル(PF)に対し口腔機能の低下と低栄養が危険因子であることが報告されており、共通の危険因子である口腔機能と低栄養に着目し、PFとの関連を明確にすることは喫緊の課題である。しかし、両者の重複がPFに与える影響は明らかでない。本研究は口腔機能の低下と栄養状態の重複について2年後のPFの該当との関連を検討することを目的に、地域在住高齢者を対象に2年間の縦断研究を行った。

【方法】

 2016、2018年の来場型健診を両年とも受診した高齢者796名のうち、佐竹らの報告に従い基本チェックリスト(KCL)8点未満をPFとし、2016年にPFと判断された288名を除外した508名(平均年齢72.5±6.2歳、男性208名、女性300名)を対象とした。ベースラインは口腔機能(咬合力、咀嚼機能、舌運動機能)を評価し、栄養状態はMNA®-SFを用いて栄養状態良好群と低栄養群に分類した。2018年のKCLを用いてPFを判定し、PFの有無と各口腔機能の維持・低下群の2群間および栄養状態良好・低栄養+At risk 群の2群間での差異をχ2検定にて検討した。さらにPFの有無と口腔機能低下の該当項目数との関連性をχ2検定にて検討した (有意水準5%)。

【結果と考察】

 2016年に健常者であった者うち、43名(8.5%)が2018年ではPFに該当した。舌運動機能が維持しているもののうち、PFの該当率は栄養状態良好群(6.4%)・低栄養群(7.7%)と比較して、舌運動機能が低下のものは栄養状態良好群(14.8%)・低栄養群(20.7%)ともに有意に高かった。また栄養状態良好群は口腔機能低下の判定項目の該当数が増えるほど、PFの該当率が有意に高かった(p=0.013)。舌運動機能の低下は栄養状態に関わらずPFの該当に関連することが示唆された。先行研究から口腔と栄養の関連は報告されており、口腔機能の低下が栄養状態に影響しPFへと繋がるフローを今後詳細に検討することで、効果的な口腔機能低下と低栄養のためのチームアプローチのためエビデンス構築やPF予防の一助となると考えられる。

(本発表は東京都健康長寿医療センター研究所が実施する板橋お達者健診(代表者:大渕修一)のデータを用いた)
(COI開示:なし,東京都健康長寿医療センター研究部門倫理委員会承認:2016-迅18, 2018-迅16)