The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

口腔機能

[P一般-036] 無歯顎者における口腔機能低下症検査項目と主観的咀嚼能力,義歯満足度および口腔関連QOLの関連

○山賀 栄次郎1、添田 ひとみ1、佐藤 佑介1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学高齢者歯科学分野)

【目的】

高齢期の口腔機能は栄養・QOL・生活機能と密につながるため,口腔機能の維持・向上が健康寿命延伸へ重要な役割を担うと考えられている。口腔機能低下症の7つの検査項目が,本学会より口腔機能評価法として公表されている。

【方法】

被験者は東京医科歯科大学歯学部附属病院に来院した上下無歯顎者で上下全部床義歯新製を希した患者43名とした。除外基準は,認知機能の低下している者,義歯を装着していない者,研究の同意を得られない者とした。まず,患者の基本データ取得,口腔内診査,旧義歯評価を行ったのち,口腔機能低下症の検査項目のうち以下の4項目を実施した。①. 口腔不潔:舌苔の付着度評価(Tongue Coating Index:TCI),②. 口腔乾燥:口腔粘膜湿潤度(口腔水分計:ムーカス,ライフ),③. 咬合力低下:咬合圧検査(デンタルプレスケールⅡ,ジーシー),④. 咀嚼機能低下:咀嚼能力検査(グルコラム,ジーシー)。主観的咀嚼能力を内田の食品アンケート,義歯満足度を100mm Visual analogue scale,口腔関連QoLをOHIP-EDENT-J (The Japanese version of the Oral Health Impact Profile for edentulous subjects)にて評価した。統計解析にはSpearmanの相関係数およびPearsonの相関係数を用いた。有意水準は5%とした。

【結果と考察】

被験者より17名を除外した(認知機能の低下している者2名,日常的に義歯を装着していない者5名,欠損値を含む10名)。最終的に26名(78.6±0.5歳,男性11名)のデータを統計解析した。4つの検査項目と(食品摂取可能率,義歯満足度,OHIPスコア)の相関係数は,①. TCI (-0.331, -0.470, 0.601),②. 口腔粘膜湿潤度 (0.006, -0.290, 0.047),③. 咬合圧検査 (0.065, -0.047, -0.091),④. 咀嚼能力検査 (0.420, 0.283, -0.496),であった。有意な相関を認めた組み合わせは,TCIと義歯満足度およびOHIP,咀嚼能力と食品摂取可能率およびOHIPであった。

(COI 開示:なし)

(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会 承認番号D2014-001)