The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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口腔機能

[P一般-037] 舌挙上運動のリハビリテーションが中枢神経系および末梢に及ぼす影響

○飯田 崇1、関端 哲士1、生田 真衣1、榊 実加1、増田 学1、神山 裕名1、西森 秀太1、小見山 道1 (1. 日本大学松戸歯学部 口腔健康科学講座 顎口腔機能治療学分野)

【目的】
超高齢社会を迎え,口腔機能低下に対する適切なリハビリテーションの確立は重要となる。これまでに口腔機能の改善を目的とした多くのリハビリテーションが提唱されているが,その発現メカニズムは不明である。本研究では舌挙上運動を運動課題としたトレーニングの中枢および末梢への発現メカニズムを検討した。
【方法】
実験1:成人16名の被験者は5 ,10 kPaによる舌挙上を運動課題とした41分間のトレーニングに参加した。トレーニング中の舌圧測定は舌圧測定器を用いた。トレーニングは視覚フィードバック(VF)なし(First series; FS),VFあり(Second series; SS),VFなし(Third series; TS)の3フィードバック条件とした。経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いた運動誘発電位(MEP)測定はトレーニング前後に行った。表面電極を右側舌背部,拇指(FDI)に貼付し,舌筋,FDIのMEPを導出し,MEP振幅を算出した。
実験2:成人8名の被験者は舌挙上を運動課題とした各日58分間のトレーニングを5日連続参加し,2日連続の休養をとるスケジュールにて3週間参加した。各日の最初に舌挙上時の最大舌圧を測定し,100%MVCと定義した。トレーニング中の運動課題は10%,20%,40% MVCの3種類の舌圧強度による舌挙上とし,実験1と同様のフィードバック条件にて構成した。各運動課題時における舌圧値を測定し,第1週初日,第2週初日,第3週初日,第3週5日目の各日の3条件における運動課題強度-舌圧曲線より決定係数を算出し運動学習を評価した。
【結果と考察】
実験1よりトレーニング後の舌MEP振幅はトレーニング前と比較して有意な増加を認めた(P < 0.001)が,FDIのMEP振幅は有意差を認めなかった。実験2より第3週初日と第3週5日目における100% MVCの最大舌圧は第1週初日より有意に増加した(P < 0.05)。第2週初日,第3週初日,第3週5日目のFS,TSにおける決定係数は第1週初日のFSと比較して有意に増加した(P < 0.05)。
以上より舌挙上運動のリハビリテーションを実行した場合,大脳皮質の運動野に即効性の神経可塑性変化を生じた後に,舌運動に関わる運動学習の発現,最大舌圧の向上が生じることが示唆された。
(日本大学松戸歯学部 倫理審査委員会承認番号 EC14-019)